スーツ業界受難続き。この先どうなる

アパレル流通業界

始まりはカジュアルデイ

温暖化対策の一環として数年前から実施されたカジュアルデイ。夏場の暑い時期はネクタイなし。

真夏でもネクタイ締めて汗をかきながら、そこそこ仕事に勤しんでいた身としては最初こそ否定的でしたが、慣れている見るともう戻れない。

それ以来、ネクタイを買う頻度は激減。さらにカジュアルデイはスーツにも及び、チノパン風の生地を扱ったパンツやらコットン系のジャケットなど、カジュアル度はどんどん増していきました。

この一連の流れに大打撃を受けたのはスーツの青山やAOKIなどのスーツ業界でしょう。

品揃えも従来のフォーマルなスーツからカジュアルにふったスーツなど品揃えに幅をもたせはじめました。

コロナ禍でスーツを着る機会がほぼゼロ。

何とか時代の変化に乗り遅れまいと品揃えを広げたスーツ業界ですが、次なる災難が・・・。

それがコロナ禍による在宅勤務。飲食業界、旅行業界の大打撃っぷりだけがクローズアップされがちですが、スーツ業界もかなりの被害の被っている業界のひとつ。

スーツを着る機会が激減したこともあってか、AOKIは2021年3月期の連結売上高は前期比16%減。約400人の希望退職を募集しました。

従来の生産計画にも狂いが・・・

そもそもスーツ業界は大量生産することで、サラリーマンの懐に優しい価格帯の商品を提供。かくゆう僕も大変お世話になっています。

ところが、今回のコロナ禍で大量に在庫が余ることは確実。となってくると、2021年度の生産計画も変更が余儀なくされ、従来よりもロット数が大幅に減ることになるでしょう。

果たして、数量を減らしても現在の価格帯を維持できるかが問題。相当なコストカットをしない限り、価格に転嫁せざるを得ないでしょう。

業態転換も視野に。AOKI

スーツ事業で持続的成長を見込むのは厳しい状況。てなわけで、AOKIではカフェやカラオケ事業を推進するエンタメ事業の強化に乗り出しました。

エンタメ事業では、在宅需要の取り込みも視野に時間貸しでお部屋を提供。在宅勤務の場として活用してもらったり、ちょっとしたすきま時間にビジネスマンに利用してもらうとしています。

エンタメ事業の店舗数は660店とスーツ事業の店舗数を超えているということで、猛スピードで事業転換を行っている感じさえします。

シェアオフィスに注力。青山

スーツ事業が売上高の4割を占める青山も同様の戦略を取っており、100円ショップなどとの併設店に力を入れてきました。

また最近では在宅ワーカーを取り組むシェアオフィス事業にも力を入れています。

スーツ事業でもテコ入れが始まり、自社ECサイトに繋がるタブレットで接客を行い、在庫を極力抑えた小規模店舗の導入を進めています。

従来よりも維持費を下げ、今の時代に合わせた店舗運営を試験的に行っています。

エンタメ、貸しオフィス屋に変貌

コロナ禍による新常態は一時的なものではなく、これが定着化していくことでしょう。

となると、創業のスーツ事業を捨てエンタメ、貸しオフィスが主力になってくるかもしれません。

時代の変化に合わせて変容していくものが生き残れる。スーツ業界も例外ではないとうことを学びました。

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