近所にいそうな偏屈ジジィ
本作品の主役、ヴィンセントは頑固で偏屈で素行の悪い、とりあえず関わりを持ちたくない独り者の老人。
そんな誰もが避けて通りたいトラブルメーカーのお隣に引っ越ししてきたのがシングルマザーの親子。
引っ越し初日からヴィンセントの塀を壊すわ、植木の枝を折るわ、しまいには折れた枝でヴィセントのクルマに傷をつけてしまう始末。
最悪の初対面となり、この件をきっかけにヴィンセントと親子の交流が始まります。
シッターで小銭稼ぎのヴィンセント
各方面で借金を抱えていることもあり、ヴィンセントは子供のシッター役を買って出ます。
とは言っても、シッターの免許を持っているわけでもなく経験もなしい。
まぁ大人の社会勉強を中心に、競馬をしてみたり、バーに連れて行ったり、ガールズバーで夜の女というものを教えたり。
そして喧嘩の手ほどきなどなど。
どれもシッターから学ぶことのできないレアな経験を子供にさせていきました。
実はいい人、ヴィンセント
偏屈で嫌われ者のヴィンセントですが、実は奥さんが重度の認知症で8年近くも介護施設入院。奥さんは既にヴィンセントが旦那であったことを忘れているものの、そんな事は意に介さず、時には白衣を来て、医者という役を演じて奥さんに接します。
こんな献身的な様子にヴィンセントの本当の姿を見た気がしました。
母子家庭にも秘密が
すっかり母子家庭と思っていたお隣の親子。実は離婚係争中でパパとはまだ辛うじてつながっています。
しかし、お母さんは私が一家の大黒柱とばかりにまだ小さな子供はいるものの、フルタイム勤務も選択。
そんな精神的にも経済的にもいっぱいいっぱいの時期にヴィセントと出会ってしまいますが、結果敵には幸運が訪れたと言ってもいいでしょう。
最後は号泣ものです。
学校行事で自分の中の聖人を発表することとなり、友達は歴史上の人物、マザー・テレサやら、街の消防士、あたまたは自分の親を聖人として発表します。
本作品で、聖人とは、人のために尽くし、徳を積み重ねた人のことと授業で子供たちに教えていました。
で、ヴィセントにお世話になっている子供は、ヴィンセントを自分の中の聖人として紹介します。
まずは自分に対して社会勉強を兼ねて色々なことを教えてくれた感謝の気持ち
8年間に渡る献身的な介護、そしてベトナム戦争時に数で勝る敵の部隊から仲間を救った話などなど。
まさにヴィンセントの人生こそ聖人そのもの。
生涯に渡って、人に尽くす人生を歩んできたのです。
とは言っても、そんなことを一切に口にせず、むしろ逆の態度を取って自ら嫌われ者を演じるにあたりに、ヴィンセントの深みを知った気がしました
久々に泣ける映画に出会えました。