平穏な老後の暮らしに突如現れた公安
夫に先立たれたものの、子供や孫にも恵まれて幸わせな人生を歩んできたおばあちゃんの元に、突然現れた国家公安部。
捜査上のミスで、犯人に仕立てられて、可愛そうなおばあちゃん。その表情からもなぜ私が?って顔をしているので、とんだ災難にあったかと思いきや、これが演技だったことに後々気付かされました。
その罪状とは、スパイ容疑。国家機密を他国に売ったとのことで、こんな老いて善人ズラおおばあちゃんが・・・。人は見かけによらないなとつづく感心させられました
国家機密は原爆。しかも売った先がソ連だったとは
彼女がスパイ行為を行ったのは第二次世界大戦中というもので、かなり古いお話。恐らく40-50年は経っているかと思いますが、国家機密を売った罪は時効とかはないのでしょう。
当時の英国の国際状況はと言えば、連合国側に属し、米国とソ連はいわばお友達関係。お互いに戦況の情報交換は頻繁に行われていましたが、原爆情報は別。
特にお友達とは言え、ソ連は要注意国。戦争後のことも踏まえ、慎重に接していました。
てなわけで、ソ連側はKGBを使い、情報取得を狙い、これが見事に成功。この罠におばあちゃんこと、ジョーンがまんまとひかかってしまい、悪の道に足を踏みれてしまった。
なんてかわいそうなおばあちゃんと最初は思いましたが、原爆情報を流したのはある意味、自分の信念に基づいたもので、これには考えさせられました。
一人勝ちは世界にとっては、よくないこと
ジョーンが原爆情報をソ連側に流すことになった決め手は広島の原爆ニュース。多くの人が犠牲になり、この先も多くの犠牲者を出してしまう。
米国、英国が原爆技術で他国をリードする今の状況では再び戦争が起きてしまうことも考えられる。
てなわけで、ソ連にも情報を流すことで、一人勝ちの状態から均衡状態となり、互いが牽制し合うことで、互いに戦争という過ちを起こさないのではないかと。
結果的に、第二次世界大戦以降、大きな大戦は起きず、かつ原爆の恐ろしさが広く知れ渡りました。
が、この決断は大きな代償を払うことになります。
愛する人を犠牲に。苦渋の決断
それが夫となる上司の逮捕。猛スピードで原爆技術を高めたソ連を不審に思った英国政府は、情報漏えいがジョーンが務める研究所であることを突き止め、ジョーンの上司による犯行として逮捕に踏み切ります。
自分の犯した罪で、将来の旦那さんが逮捕されてしまったジョーン。彼に全てを打ち明けることを決意。犯人は自分であることを自白することで事を収めようとするのですが・・・。
時を戻して、公安部に連れて行かれたジョーンは、最終的には罪を認め、自宅前に群がる報道陣の前で、自分がソ連側に情報を伝えてことを公表します。
が、自分がしたことはスパイ行為ではなく、世界の平和のために行ったことであることをあらためて主張。
色々と考えさせられる作品でした。