不採算事業は有無も言わさず即時撤退?
伊藤忠商事の強さの源泉とも言えるグループ会社。2/3は利益20億円と小規模ながら、上流から下流までのピースを埋めるという点ではなくてはならない存在。
とは言え、数を増やせば、ピースに埋めれば良いという訳ではなく、事業継続には厳しい審査があるようです。
その基準とは、まず3期累計赤字、計画の未達、資本コストと比較しての3期連続赤字。赤字というのはわかりますが、計画の未達では例え黒字でも、事業継続か否かのジャッジの対象となる模様。
ってことは、これらの基準を満たさなければ事業撤退もしくは売却の憂き目に会うのかと思えば、そうでもないようです。
今やホットな市場とも言える蓄電池ですが・・・
脱炭素への関心が世界的に高まる中で、今注目されているのが蓄電池。電力をプールでき必要な時に使ったり、時には貯めてみたり。
伊藤忠はこの蓄電池に20年以上前から目をつけていたというのですから、さすがです。
2003年、米エナールワンに出資。電池を持ち運ぶ時代が来ると事業化に胸が高まっていたものの、中国や韓国のコスト競争に敗北。出資から約10年で倒産となり、泣く泣く撤退することになりました。
今のグループ企業審査に照らせば、よくもまぁ10年も我慢したなというのが正直な感想です。
失敗は成功の母。リベンジで見事花開く
モノの見方を変えて、法人系から家庭用に発想を切り替え、電力消費の最適化、蓄電池のリサイクルニーズが来ると予想し、再び蓄電池ビジネスに挑戦。
2018年には、倒産したエナールワンの子会社、24Mに出資。さらに電力消費の最適化にAIを導入。これもピースを埋める戦略上のものですが、こちらは英モイクサへ出資。
そして、家庭用蓄電池からさらに拡大してEV用蓄電池を開発するまでに成長しました。
コストではなく、来る未来の画を描き、質で勝負。これが見事にはまり、今まさに花開こうとしているのです。
バッテリーサプライヤーに名乗り?
EVの肝とも言えるバッテリー。各メーカーともコストを下げるために腐心しています。リサイクル問題もその一つ。経年劣化で使い物にならないバッテリーを再利用できるように仕組みにも注目が集まります。
今はリチウムイオンが主流ですが、伊藤忠のそれは次世代の電池とも言える半固体電池。液漏れの心配がなく火災のリスクも抑えられる。全固体電池の開発にトヨタも力を入れていますが、実用化まではまだまだ。
その点、半固体電池はすでに実用化されているようで、あのvwが興味を示し、出資したほど。
遠い未来に、バッテリサプライヤーとして伊藤忠が名乗りを上げることも考えられます。
当然、電力の最適化、走行情報などのログを収集し、最適な充放電のAIによって提供していくのでしょう。
伊藤忠産蓄電池がブランドになる日がくるかもです。