利益の最大化が社会に貢献すると言われてきたけど
ノーベル経済学賞のミルトン・フリードマンが提唱した「企業の社会的責任は利益を最大化すること」という考え方が、これまで一般的でした。
これが結果的に国内総生産(GDP)を押し上げ、国がさらに富み国民も豊かになると、そう信じられていました。
ところが、利益の最大化を目的化することで、所得格差が広がっているのも事実。株主などの富めるものがさらに富み、中間所得層が相対的に疲弊していくという負の側面もありました。
フリードマンの考えに、ちょっと待った
というわけで、利益の最大化が必ずしも国民を豊かにするとは言い切れないのではという疑問の声が今上がっています。
この考えには「雇用を増やせば、人々が豊かになるかどうか」について欠けているのではと。
言われてみれば、コロナ下の今がまさしくそれだよ。
バブル期以来の株価28000円なんて話題が紙面を飾った年末。株価だけ切り取れば、日本、バブル期波の好景気と見えますが、実体経済はと言えば惨憺んたる状況。
コロナ禍による倒産、失業者増、輸送業界の壊滅的打撃などなど。とてもじゃないけど好景気と呼べる要素はひとつもなく、不景気の底の底と言ってもいいでしょう。
そもそも日本は三方よしのスタンス
株主重視のこの資本主義経済は、そもそもは米国に端を発し、日本も近年では、株主を重視した考えたに変わってきています。
それまでは、従業員、取引先、社会と三方よければよしという考え方でしたが、今まさにこの考え方が日本には合っているのではないかと言われています。
海外でもSDGS投資が盛んに行われ、株主重視から社会貢献も重視する方向に変わってきています。
いびつな株主優遇策も問題
そもそも企業は株を発行して外部から資金を調達して、さらなる事業の成長を目指します。事業がうまくいけば配当いう形で株主に配当する。
こうして企業と株主は良好な関係を築いてきたわけです。
が、この10年間では、資金調達が年1-2兆円で推移している中、配当額はこの10年で6兆円から約20兆円に倍増。配当だけが増えているといういびつな状態が続いているのです。
一方では従業員の給与は10年間ほぼ変わらずという状況。
海外では配当見直しの仕組み広がる
ちなみにある試算によれば、配当の配分を見直すことで、従業員の給与が上がるのはもちろん、税収も上がるとのこと。
国にとっても税収が上がるのはありがたいもの。一部の方だけが利益を享受するのではなく、対象が広がるのは良いこと。
海外では法定準備金として一定の資金を社内に留保させる制度の導入や、利益剰余金の留保を企業に義務付けるなど、配当を見直すような制度があるようです。
コロナ禍を経て、会社とはいったい誰のものなのかを考えさせられる時期になったのではと思った次第です。