コロナ禍でも勢い衰えず自動車業界
GDPがマイナス成長と経済失速が鮮明な日本ですが、自動車業界では早くも復活の兆しが出ています。
春先の第一波のコロナ禍の際は、対前年を大きく下回る台数に沈みましたが、コロナが一時的に落ち着いた9-11月では対前年を上回る販売台数を記録。
ディーラーでは売るクルマがないという嬉しい悲鳴が飛ぶほどで、工場も昼夜で稼働しているとか。
この状況、日本だけかと思いきやタイでも起きているとか。
ところがタイの場合は、業界全体というよりもイチメーカーが飛び抜けて台数を上積みしているというもの。
そこにはコロナ禍による新常態が大きく影響しているようです。
いすゞピックアップトラックバカ売れ
まず2020年のタイの経済状況はと言えば、アジア開発銀行の発表ではマイナス7.8%と日本と変わらず低迷。
クルマの販売台数は20年11月実績で対前年2.7%増。約18ヶ月ぶりに対前年超えを達成し、日本と似たような動きを示しています。
中でも、いすゞ自動車のピックアップトラックはバカ売れっぷりは際立ち、対前年20%増。シェアも4%に拡大しました
出稼ぎ労働者の働き方改革が影響?
このバカ売れっぷりにはコロナ禍による働き方の変化が少なからず影響しているようです。
タイでは地方の労働者が都市部に出稼ぎで働きに出ていましたが、コロナ禍で働き口が縮小され仕事がない。
なら地元に帰って農業でもするかということで、収穫物を積むクルマとして、かつ家族の移動グルマとしてピックアップが最適となったわけです。日本で言えば軽トラと言ったところでしょうか。
そこに価格と性能に厳しい地方部労働者のお眼鏡に適なったのがいすゞのピックアップトラックだったのです。
2019年に8年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたピックアップトラックD-MAXは耐久性を高め燃費性能も向上。これが地方労働者の心を鷲掴みにしたのでしょう。
宅配サービスの需要増もイチ要因
また農業に従事すると人もいれば、宅配サービスに従事する人にとってもピックアップトラックはうってつけ。
タイでは20年の独身の日のセールで、2時間以内で34億円を超える記録的な売上を達成しました。その裏にはコロナ禍による生活変化が大きく影響しており、日本と同様の動きを見せています。
で、地方部ではピックアップトラッカーがラストワンマイルを埋める働きをしているようです。
コロナによる新常態
地方労働者の働き方の変化、ネット需要増全てがコロナ禍によるもの。
このような新しい変化を新常態と言っていますが、一過性のものではなくこの先も長く続き定着化していくことでしょう。
海外ではクルマのネット販売が市民権を得つつあり、日本でも遠くない未来では、このような変化が起きることが予想されます。
他にも、この先、どんな新常態が起きるのか注視していきたいと思います。