バイクがやたらと多いんですけど・・・。
数年前に東南アジアのある国を訪れた時のこと。道路に溢れるバイクの群れの中を何ごともなかったかのようにスイスイと走る運転を見て驚いた。
ドライバーの彼に聞くと、その国では当たり前だと言う。前方に走るバイクに対し、クラクションをけたたましく鳴らし、道路の端に寄せる。日本なら、ひと悶着ありそうだけれど、バイクは言われるがままに素直に道を譲る。何事もなかったかのように。
クルマ所有は高嶺の花
ドライバーに話によると、クルマを所有しているのはごくわずか。大半はバイクだと。驚いたことに中学生が普通にバイクに乗って登校している。また自転車に乗る位の気軽さで、小学生位の女の子が、弟らしき子どもを乗せて街中を走っている。
このような光景を見るに、自転車よりもむしろバイクの方が生活に浸透しているような気さえする。
一昔前の二輪天国、タイ
同じ東南アジアの国タイでも数年前までは、二輪が幅を利かせていたけれど、経済発展に伴いクルマ所有車が増えている。
2011年の洪水やら軍による政権掌握など経済発展を阻害する要因は多々あるにもかかわらず。
ということは、政情が安定していて、かつ、あの忌々しい自然災害が起きなければ、もっと経済は伸びていたかもしれない。
モータリゼーションの法則
クルマ所有がドット増える、そのブレイクスルーが起きるのは「1人当たり名目GDPが3000ドル以上になると、二輪から四輪に乗り換える消費者が増える」と言われている。
その法則にのっとれば、タイは2006年に1人当たりの名目GDPが3000ドルを突破。もう今から数えて約10年前です。既に変化の兆しが起きていた訳です。
で、2013年には政情不安があるにもかかわらず1人当たりの名目GDPは5600ドルに到達。幹線道路にクルマが増えたのも納得がいきます。
目測を誤った日本企業
円高不況で苦しんでいた日本企業。輸出は厳しいので生産拠点を海外に移そうと、あらゆる企業が海外進出を果たしました。
あるバイク関連の部品会社もその1社。
2012年は、主力取引通過のバーツは円に対して上昇。円高バーツ安の状態。1バーツ2.6円が3.4円地度に上がり、その部品会社は204年3月期に最高益を達成。
が、良かったのはここまで。為替が円安となった2015年3月期は連結経常利益が約3割も落ち込みました。
為替の影響もあるかもしれませんが、二輪から四輪へ消費者が移行していることが少なからず影響していると思われます。
経済発展で衰退する産業
経済発展によって、それまで旺盛な需要のあった製品が急速に需要がしぼんでいく。そんな教訓めいたものを感じる、今回のタイの件。
新興国向けに、日本国内での品質を落として、その地場に合った製品を開発するという記事をよく目にしましたが、新興国も日本クオリティでないと納得がいかない。需要掘り起こせないという所まで来ているという感想を持ちました。