精巧にできているボールペン
ボールペンの先っちょ部分には、小さな丸型の球が入っており、これが紙と接触することで、この球が上下左右に動き、中のインクを均等にペン先から出しています。
線が太くなったり、インクがドッバッと出てくることなく均一に出てくるのも、この小さな小さな球が活躍しているからなのです。
で、今回のお話は、この丸型の球を製造する会社の技術がEVにも転用され、注目を集めているとのことで記事にしてみました。
ツバキ・ナカシマとは
奈良県、葛城市にあるツバキ・ナカシマは、1934年に設立された椿本精工と1905年に設立した中島製作所が96年に合併した会社で2015年に東証一部に上場した会社です。
丸型の球のシェアでは境NO.1というのですから、実力は相当なもの。
で、この丸型の球は、冒頭のボールペンの他に、パソコンのHDDであったり、デジタルカメラのレンズなどにも使用されていることで、活躍の場がかなり広いようです。
で、この度、電気自動車の雄、テスラにこの丸型の球が採用されることになったのです。
EVのどこに使われているの?
この丸型の球が使用されているがベアリング部分。このパーツの中に丸型の球が入っていて、摩擦抵抗を低減させるものとして使われています。
スケートボードやローラースケートにも確か使われていたかと思います。
従来は鋼球が使われていましたが、ツバキ・ナカシマの製品は、セラミックを使用しているのがミソ。
鋼球に比べ熱に強く変化しにくい。最大のメリットは軽量という点。
重量はどうしても燃費を左右しますので、クルマは軽ければ軽い方がいい。
ということで、ツバキ・ナカシマ製の丸型の球が重宝されている訳です。
既にセラミック製を使っているクルマもあるようですが、そのほとんどが高級車。鋼球に比べセラミックはちょいと高いようです。
が、テスラでは、この丸型の球を量産車に使用するとのことで、コスト的に大丈夫?という声が上がっています。
強みは自社工場の匠の技
セラミックのコスト高を克服したのがツバキ・ナカシマの強み。製造装置は自社で開発し、人間の匠の技も機械が再現してくれるとか。
これにより世界どこでも同じ品質で製品を作ることができるわけです。
さらにセラミックの材料に自社ならではのものを使用しているようで、高騰する材料費を抑えることに成功しました。
発想の転換と言いましょうか、ボールペンの部品をクルマに転用し、かつそこに合わせて課題を解決して、一気に普及を進めていく。日本のものづくりのレベルの高さをあらためて認識しました。