シェア1位でもバッサリ。フィリップス
日本ではあまりの馴染みの薄い感じのフィリップス。なにげに照明分野では世界NO.1のシェアを誇っていました。白熱電球からLEDへの切り替えにも遅れることなく順風満帆に見えていたのにまさかの売却。
理由は、将来的に想定されるコモディティ化が。アジア勢の著しい成長を受けて、遅かれ早かれキャッチアップされることは確実。価格勝負の不毛な戦いを強いられるのであれば早めに撤退して他の事業にリソースを投下した方が良いと判断。
で、フォーカスしたのがヘルスケア事業。
CTなどの診断機器をはじめ、電動歯ブラシ、電動シェイバーなど元々世界シェア1位、2位を誇る商品があり、その数は製品の6割以上にのぼるとか。
そこで安心してしまうのが一般企業。フィリップスは、そこからさらにM&Aを積極的に進めヘルスケア事業を極めていくのがすごい所。
2015年にはカテーテル関連機器大手を買収し、2017年には血管疾患の治療機器会社を買収と改革の手を緩めなかった結果、2011年時点では約50%の売上高シェアを誇ったヘルスケア事業は、2018年には実に100%近い売上高を誇るまでに。
シェア1位でも将来性の高い事業に投資をフォーカスする好例と言ってもいいでしょう。
仮説を立てて事業を再構築。シーメンス
サッカーのレアル・マドリーのスポンサーで知られる独シーメンス。日本で言えば日立と事業領域が近いのでしょうか、重電メーカーというカテゴリーに属しています。
こちらの会社が凄いのは仮説を立てて事業ポートフォリオを組み立てるというもの。
一般企業も、この手の将来の市場環境を予測して、そこから商品開発を進めていく手法は実際にありますが、シーメンスの場合は、その力のかけ方が規模、時間、人において他社を圧倒しています。
一番驚いたのが、その仮説立てに協力していもら専門家の面々。
著名な大学の教授やらその道の専門家など数多くの方を交えてというもの。
仮説ともあれば、Aもあるし、Bという方向もある、いやCも捨てがたいと迷うもの。
これを1本に絞り込む作業というのは相当労力と時間がかかる大変な作業。
が、この仮説を立てることで他社に先んじて事業を進められ成功している事業もあるというのですから、この仮説立ての精度の高さが伺えます。
今でこそ広く知られるようになったIoTですが、数十年前の仮説立ての時に思い描く未来として既に上がっていたというのですから、下手な未来予測よりもシーメンスに頼めば、かなり確度の高い未来を予測できるのではと思いました。
まとめ
この2社に共通するのが将来を見据えて事業ポートフォリオを大きく入れ替えている点。
どうしても過去の栄光を引きずって容易に切り捨てができないもの。失敗すれば会社が傾むくことだってあるはずですから。
なので、徹底的な検証、分析を進めているんでしょうね。いろいろと勉強になりました。