鳴り物入りで導入されたcocoaでしたが・・・。
コロナが世界的に感染が広がる初期段階で、感染拡大の切り札として期待された新型コロナ接触確認アプリcocoa。
早速ダウンロードして1年が経とうしていますが、幸いなことに未だに感染者との接触する通知は来ていません。
と安心しきっていたら、このアプリ、不具合を起こしていたことが発覚。ある家族の話によれば、家族の中で感染者が出たのに、接触通知が他の家族に来ないことが発覚。
他にも本アプリの掲示板には、不具合を指摘するコメントが相づいていたものの厚労省の耳には届かなかったのでしょう。
で、AndroidOS端末で4ヶ月間、通知不能状態が続いていたという惨事を招いてしまいました。
この失態より、cocoaの信用は大きく失墜。新規の利用者増が鈍ってしまう可能性も十分考えられます。より多くの人が使わないと、その効果は発揮できないんですけどね・・・
失態の本質は、日本のIT化遅れでは
今回の大失態を受けて、アプリ開発の会社選びがまずかった、委託先の多重構造、民間に丸投げなどなど色々と言われていますが、この話、国に限らず民間でもよくある話。
そもそもITの話は、かなり専門的。ので、その道のプロにお任せするのは道理。丸投げにしても、好きでしているわけじゃない。全くの専門外だから、全面的に任せるしかないというのが実だと思いますね。
また開発先が複数の企業にまたがるのも、これまた民間では当たり前。IT系とは言っても、それぞれに得意とする技術を持っており、自社のにわか技術者を使うよりも、外部のプロを選択するでしょう。
となると、問題の本質は、発注元に全体を統括できる人、開発会社の説明を理解できる人間が不在だったということが今回の失敗の原因だと思います。
日本のIT人材不足というのを露呈したとも言えます。
e-Japan戦略から20年経ったけれど
2001年に電子政府構想「e-Japan」構想が立ち上がり、2013年に政府CIO(最高情報責任者)が設置され、2017年には各省庁にもCIOが設置れました。
が、この20年を振り返るとポストを置いただけで、中身は全く変わっていない。民間レベルで見れば、未だに紙ベースで情報の保管、やりとりをしていることも多く、このコロナ禍においても病院と保健所での情報のやりとりはFAXの所もあるとか。
皮肉にも、コロナ禍をきっかけに、このシステムは紙からデジタルに移行し、保健所の負担も多少は軽減したのではないでしょうか。他にも請求書の電子化や印鑑の電子化も、日本のIT化を推し進めることでしょう。
結局の所、新しいものは必要に迫られないのとなかなか移行しにくいのでしょう。
ウォータフォール型からアジャイル型へ
ITに精通した人たちから見ると、日本のIT化の遅れは開発思想にあるとのこと。
その開発思想とは「ウォーターフォール型と呼ばれ、発注者と受注者が開発手順を一つ一つ確認しながら、OKが出たら次に進めるというもの。完璧を求める官公庁が好んで使用するとのことですが、これがIT化を遅らせる原因の一つに挙げています。
そもそもアプリにしろ、OSにしろひとまずローンチしてから、絶えず更新を行い、提供した製品の最適化を図っています。一昔前にもてはやされたリーンスタットアップにも通じる所があります。
これをその道の人はアジャイル型と呼んでいるようで、政府も本格的にこの開発思想への取り組みを推進。2021年3月にアジャイル開発実践ガイドブックを策定しました。
そう考えると、cocoaもアジャイル型で開発されたと思われます。幸いなことに、今回の失敗を受けてアジャイル型はペケという烙印を押されなかったことは不幸中の幸いとも言えます。
中の人はアジャイル型でどんどん開発スピードをアップしていきますし、そのスピード感に取り残されないよう、彼らの説明を理解できる人材育成が急務と感じあ次第です。