EC通販の盛り上がりで後払いが脚光を浴びる
一般的な決済サービスはと言えば、登録済みのクレジットカードからお金が引き落とされる前払い方式。
ところが、昨今のEC通販の普及によって後払いサービス(バイナウペイレイター/BNPL)がかなりの勢いで普及しています。利用もクレジットカードに比べると厳しい与信審査もなく、購入時にメルアドと電話番号さえ入力すればOK。サービス提供会社の代金の支払いを肩代わりして、おしまいというもの。
海外ではスウェーデンのクラーナや米ファーム・ホールディングスが有名で企業価値は100億ドルを超えるほど、今注目されています。
決済サービスのスクエアもオーストラリアのアウターペイを買収するなど注目が集えめています。
EC通販の後払い市場は2020年度で8,820億円、2024年度には1兆8,800億円に2倍以上になるとも言われ、将来が期待されているサービス。
国内でもPaidyというスタートアップ企業が手掛けていますが、この度、ネット決済サービスの老舗、PayPalに買収され、そのポテンシャルの高さが注目を集めています。
志の高いスタートアップにとっては上場よりも買収
今まさにフォローの風が吹き勢いにのるPaidy。日本ではごくわずかとも言われるユニコーン企業(企業価値が10億ドルの未上場)。いつ上場するのかと市場関係者は今か今かと待っていたのにまさかの買収。
しかも、Paidy側で上場よりも買収を選んだ節があるようで、日本の投資家にとってはかなり肩透かしを食らう格好となりました。
Paidyの中の人に曰く、株式上場の場合だと資金調達の規模も小さい。ので、買収という道を選んだというもの。
日本の場合、スタートアップ企業の規模が小さい内に株式上場を進めるため、投資家にとってはリスクを最小限に抑えることができます。
一方、スタートアップ企業では想定よりも資金を調達できない。今後事業を拡大してくのにはあまり資金不足ということが起きてしまいます。
買収ともなれば、リスクは高いものの、当たれば買収する側、されう側、双方にとって大きな果実を得られます。
海外でも、株式上場よりも企業買収を選ぶスタートアップが多いとのことで、今後のトレンドになっていくことでしょう。
リスクを取りたがらないから、日本発のスタートアップ企業が生まれない?
GAFAも黎明期の頃は、株式上場による資金調達で規模の拡大を図ってきましたが、昨今では買収した企業のもとで成長を探るという企業が多くなったことを示唆しています。
やんややんやと外野の声がうるさい感じはしますが、お金をきっちり出してくれるなら従いますということなのか、ちょいと理解に苦しむ点はあります。
となると、小口投資を主流とする日本の投資家にとって、この状況はますます立場を弱めることになっていくんでしょうね。
スタートアップ企業が買収を志向するとなると、ほぼ出る幕なし。多少のリスクを取る覚悟でもしない限り、世界から取り残されてしまうかも。
色々と示唆に富んだ話でした。