地産地消で造船不況が忍び寄る

造船造船業界

円安なのに・・・の声

アベノミクス効果のおかげで、円安株高が続く日本経済。実感はないけれど景気は上向いているみたい。円安ともなれば輸出主導型の日本企業にとっては願ったり叶ったり。

海外企業に対する価格競争力も増し、円高時代の苦難を晴らす時が来たぞと思いきや、実態はそうでもないようでして・・・。
そんなトホホな事態に直面している、造船業界についてのお話です。

今はまさに大繁盛

造船の街とも言える広島の呉市。ある造船会社では、今まさに活況を向かえ、ほぼフル操業状態。人でも足りないもんだから、外国人の受け入れをも視野に入れ、今後3年間で約400人倍増するとのこと。

傍から見ると、不況の様子など微塵もなく、これも円安効果と思いきや、これらの受注はアベノミクス前のもの。というのも、船は受注してから3-4年かかると言われ、それがまさに今ピークを迎えているようです。

受注は対前年比減

ということで、3年後の景気を占う受注はと言えば、あまりにも芳しくない。2014年度は対前年に対し、約20%近く落とし、3年ぶりに減少。6重苦、7重苦と言われた日本経済絶不調の時に対前年をクリアしていたのには驚きですが、その当時よりも経済環境が良いのに受注を落とすというのはさらに驚き。

原因は地産地消

中国経済失速、資源安による荷動き鈍化という原因もありますが、主要因としては企業が円高対策として海外に製造拠点を設け、進出国内で製造から販売まで一気通貫で行うようになったから。

となれば、部品やあるいは完成品を輸出するなんてことは発生しなくなる。となると船による輸送を大幅に減っていくわけです。

船余りのも影響か

さらに追い討ちをかけるのが世界的に船が余っているようです。2008年から2014年の日本の海上の荷動き量の増加率は14%。全世界の同期間の商船船腹量約30%。

荷動きが鈍化して、かつ市場は船余りと、この先の造船業界は厳しさが増す一方な感じです。

まとめ

輸出主導から地産地消型への産業界であるけれど、それはそれで為替に左右されない体制づくりには必要不可欠。時代の流れを感じます。

となると、造船業界も日本を基点とした輸送から海外と海外を結ぶ輸送に力を入れざるを得ないかも。メイドイン ジャパンのクルマが海外でも一定の評価も得ていることから、船も同様に日本製が評価される時代が来るかも。

ある造船会社では、汎用性の高い船から、技術力の高さをウリにできるLNG輸送船に注力する動きも出てきています。加えて、LNG輸送船は需要も膨らんでいる様子なので、造船会社にとっては今後注力される分野かも

コモディティ化著しい商品は、付加価値をつけた商品で需要を喚起する。他の業界にも似たような事例が多く、日本のモノづくりの宿命かと感じた次第です。

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