持ち主が今更の返還要求
この作品を観て、高校生の時に友人から買ったことゲームボーイを思い出しました。
市場価格よりももの凄い安値で売るというので即飛びつきましたが、数ヶ月したら別の持ち主が現われて、ゲームボーイを返せとのこと。
事情を聞いたら、ゲームボーイの本当の持ち主で、貸したつもりなのに知らない内に売りに出されていたというのです。
という訳で、その彼からはお金を返金してもらい、ゲームボーイは持ち主に返し、話は丸く収まったのですが・・・
で、本作品もそう。有名な画家に描いた貰った肖像画がナチスに略奪され、最終的には国の管理する美術品になってしまい、その絵画の返還を求めた女性の話です。
当時のナチスはやりたい放題
作品で描かれる場所はナチス占領下のオーストリア。
ユダヤ人への取締が厳しくなり、この女性のお家にもナチスが土足でヅカヅカと入り込み、家財、宝石、複数の絵画の差し押さえていきます。
今では考えられないことですが、戦時下となると民間の所有物さえ国が許可なく奪ってしまう。まさにやりたい放題です。
危機一髪で国外脱出
ナチスの取締が厳しくなり、許可なく国外への移動は禁止。
しかも家にはナチス共が居座り、半ば監禁状態。
そんな中、裏ルートで国外脱出に目処が立ち、一瞬のスキをついて、飛行場に向い脱出に成功します。
その脱出シーンでは飛行場で、これから離陸という直前にナチスが来て名簿片手に、渡航禁止者を拘束するなど、それはそれは命がけの脱出といっても言いでしょう。
話は戻って絵画のお話
ナチスに略奪された絵画は、戦争終了後、オーストリア政府が所有者となり美術館で展示されるようになります。
この返還を求めて、国を相手に裁判を起こすわけですが、前例から言って、この手の裁判では返還請求を求める側で勝訴に至ったケースはないという厳しい状況。
が、最終的には彼女の主張が通り、勝訴。めでたく彼女のもとに肖像画が帰還することとなったのです。
返還された肖像画は彼女の住むアメリカに場所を移し展示されることとなりました。
その数10万点って・・・・
彼女のようにナチスに奪われてしまった絵画は約10万点にも上り、元の所有者に戻っていないようで、戦後処理は今なお続いています。
この作品に登場する彼女についた弁護士は、その後、この手の訴訟弁護士として法律事務所を設立。
絵画返還訴訟専門だけで大丈夫?と思いましたが、それだけ需要があるから設立したのでしょう。
僕のゲームボーイ返還は、持ち主の必至の懇願に胸を打たれたからです。