Apple追放。そして帰還
ジョブズがAppleを追放される直前からiMac発売までを描いた本作品。ジョブズの生涯で最もエキサイティングな時期。
iPhoneの大ヒットまでの過程が描かれていないのは残念ですが、十分楽しめる内容となっています。
無茶ぶりが凄すぎる
歴史に名を残したと言っても過言ではないスティーブ・ジョブズですが、一方では中の人から強烈なブチャぶりな上司とも知られています。
例えば、アップル・コンピューターの社運をかけたLisa発表会の当日のシーンで会場の非常灯全てを消せというもの。
防災上、非常口などの電飾は基本つけていないとペケ。法律で定められているのに、会場を真っ暗にしないと発表会の意味がないと。
この程度ならまだ対応できますが、発表会開始30分前にソフトウェアを改修しろと。当時の部下は背筋が凍る思いだったでしょう・・・。
Helloが、そこまで大事?
で、その改修の内容が、パソコンを立ち上げた時にHelloという音声が出るというもの。それってそんなに大事かと思いますが、歴史に名を残す人には何か思う所があったのでしょう。
不完全ではあるものの何とか間に合いましたが、1/3の成功に納得してくれず100%にしろとさらにプログラマーにプレッシャーをかけます。
このわがまま傍若無人に、優秀な人材が会社をやめていったのはわからないでもない気がしました。
とにかく信念がないと無理
このLisaの発表は1984年の伝説のCM直後で、パソコンが1人1台の幕開けとなる記念すべき年でした。
ジョブズが描くパーソナルコンピューターは理屈抜きでいいというもの。一切の妥協も許さないというものでした。
嫌われようとも信念を曲げるこはできないという訳で、細部にも強いこだわりを持っていたのです。
その後ネクスト社から発表したパソコンも90度ではなく、90.1度にした所もそうだし、プレゼン用のサメの写真を30回やり直しさせたのもそう。
部下も、それを知ってか、何度もやり直しをくらおうと、へこたれないタフさを感じました。
自分なんかはまだまだ恵まれているかも
クライアント、上司からの無茶振りなんかは何度か経験はしていますが、どれも何とか頑張れば物理的な可能なものばかり。
が、ジョブズの命令は物理的範囲を越えていますからね。
そう考えると、僕の経験したものは、ジョブズの部下から言わせれば、無茶ぶりでもなんでもないということになり、まだ恵まれている方だと感じましたよ。