昭和感漂う風景
木造建ての自宅兼居酒屋のお家。営業時間前に家族総出で栗の皮をはいだり、インゲンらしき豆を出したりと世間話をしながら、近所の噂話をするおばちゃん連中。
どこか映画寅さんの一コマを見ているようでどこか気持ちが優しくなります。
そんなごくごく普通の家族に降って湧いたような珍事件、死んだはずの小泉今日子演じるミキちゃんが突然、姿を現して一同ビックリ。まるで寅さんが久方ぶりに実家に帰ってきた時のように蜂の巣をつついたような大騒ぎとなりました。
謎めいたミキちゃん
家族が驚くのも無理はない。ある事件をきっかけに数十年近く家には寄り付かず一説によると死んだという噂も出たほど。
あの寅さんでさえ半年に1回は実家に帰っていたのに・・・・。しかももっと質が悪いのは警察やあるやばい組織に追われているとのこと。
家族の口から一切、何故警察に追われているかは口にしないし、ミキちゃんを知らない子どもたちには、「このことは他言無用」と口封じをするし、家族にとってもこの突然の帰郷はいい迷惑だったのです。
反りの会わないメイのカコちゃん
この突然の親族の出現に心穏やかでないのが、ミキちゃんから見ると、姪っ子のkカコちゃん。
年頃のせいなのか、思っきり彼女の存在を受け入れないカコちゃん。
本人を前にして、一緒に部屋で出るのは嫌だとか、いつになったら家を出ていくなど、かなりズケズケとした物言い。
とは言うものの、ミキちゃんは全然そんな事を気にする素振りもなし。
むしろ「愛想よくしておいた方が何かと楽よ」と余裕の対応。
ある時は物思いにふける表情がムカつくと理不尽な理由で取っ組み合いの喧嘩に発展するなどとにかくカコちゃんの拒絶っぷりはエスカレートする一方。
衝撃の事実発覚
警察に追われている身のミキちゃんでしたが、家族にとっても微妙な影を落とすことに。
実はミキちゃんの実の妹の旦那、板尾創路は元ミキちゃんの恋人。
つまり、失踪後、妹がお姉ちゃんの彼氏を奪い取ったという訳なんです。
何ともドロドロとした感じはしますが、この作品ではそういったしめっぽい話は特に突っ込まず、淡々とある家族の日常を描くことに終始。何かの事件を中心に据えて話を展開するといったわかりやすい展開はしていません。
これが、この作品の魅力あるんですが・・・
知っているよと実にあっさり
ということもあり、ミキちゃんがカコちゃんに対して、「あなたの実の母親は私よ」という衝撃のカミングアウトも、「知ってたよ」と軽く一蹴。
全くあっさりした展開に拍子抜けするほど。
変に肩に力が入っておらず、演者のセリフのやりとりは実に面白い。久々に笑える作品に出会えました。