後妻業って財産目当てのブラック稼業
結婚詐欺で多くの男性を殺めた女性がいましたよね。写真を見ると「どうして?」と僕なんか思っちゃいますが、長い間独り身でいると常識的な判断がつかないのでしょう。
それと似たような感じがする今回の作品。妻に死に別れ、寂しさからか結婚相談所に登録してパートナー探しに勤しむ。けど、そんな需要を見越してか、財産を目当てに彼らのを狙うわるーい奴らもいます。目当ては財産。男性からすれば見え見えなんでしょうけど、そんな事は織り込み済み。短い余生を楽しく過ごせるものにしてくれるなら、自ら黙れたフリもいとわないのでしょう。
見事なまでのクズっぷり
大竹しのぶ演じる後妻業の女。若くして旦那に先立たれ、第二の人生を共に歩んでくれる男性を探しにきましたって。で、コロッとはまた男性と早々に結婚して、まずは第一ステップ完了。結婚相談所の時のようなさしとやかさ、憂いさは一切消え、図太い女性に豹変。
あとは旦那がコロッと行くのを待つだけ。予定よりも長く生きようものなら、自ら手を下してしまうというのですから。
極めつけは遺書を偽証して、財産は全て分捕ってしまうというもの。
こんなのが自分の親に寄生した日には、ゾッとしてしまいます。
けど、大竹しのぶが演じると、怒りよりも笑えてしまうから不思議。関西のおばちゃんのノリで、あー言えば、こー言うととにかく返しが一つ一つ面白いし、的を得ている。口では確実に負けてしまいます。
悪いことばかりしていると罰が当たるよ
とにかく悪行の数々をしてきたのに、相手に悪いことをしたという気持ちは一切ゼロ。
ちょっとはお仕置きが必要ということで、後妻業が危機にさらされます。
登場するのが私立探偵の永瀬正敏。今まで大竹しのぶと結婚し、不審な死を遂げた遺族を集中的に取材し、彼らの不正の事実を掴みます。
これには大竹しのぶと彼女の雇い主豊川悦司も真っ青。初めて見る余裕のない顔に、これで後妻業も店じまいかという所まで追い込まれます。
永瀬正敏はと言えば、てっきり警察に通報するかと思いきや、彼らの犯罪を証明する証拠品を彼らに売りつけるという、これまたクズっぷり。
毒には毒を持って制すというがこれほどピッタリ来るのも凄い。
さらに大竹しのぶは、後妻業の男性版、竿師にひっかかりこれまた罰を喰らいます。
全体にコメディタッチ
シリアスに描いても、設定的には非常に面白い作品です。
ただコメディタッチで描いた方が、一人ひとりのキャラクターが立ってより現実的な感じがしました。
悪者として描くとそれまでですが、優しい面であったり、面白い一面を出せたり。幅が出来てよかったです。
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