重耳後の春秋時代を描いた「夏姫春秋」

夏姫春秋書籍レビュー

華栄の丘とほぼ同時代

春秋時代の宰相の華元を描いた華栄の丘とつながりの深い本作品。

時代もほぼ同時期なので続けてご覧いただくのをお勧めします。

こちらの作品では華元が宰相を務める宋同様、春秋時代においては弱小国の鄭、陳の歴史が描かれています。

世は2大強国の時代

一方、強国と言えば

晋は周王朝を守るという大義の元、中国の盟主という立場。

一方の楚は、自らが王を名乗り、周王朝に対して明らかに反発するという立場。

そんな強国からの自国を守るため、時には楚と同盟を結んだり、またある時は晋の同盟下に入るなど苦労が耐えないのがでした。

あまりにも節操がない鄭の外交政策

特にの外交と来たら・・・。右手で楚と握手しながら、左手には短剣を持っているというもの。

こんな調子だから晋からも楚からも信用されないという有様。

そうでもしないと生き残れないというのはわかりますが、弱小国宋が一本筋を通して生き残ったことを考えれば、鄭も陳も生き残れたのではと思います。

不幸すぎる。ある女性の生涯にスポット

そんな時代の荒波の中で、生涯を送ったのが本作品の主人公夏姫です。

この方が魔性の女とでも言いましょうか、結婚した夫が次々と死に追いやられていきます。

生まれは鄭国。君主の家系に育ち、今で言えば良いところのお嬢様。ところが実のお兄さんとは10代のはじめ頃からチョメチョメの中で、性に奔放な一面も。

お国に置いておくのも家系の風紀を乱すということで陳国のとある貴族の所に嫁入りさせられます。

ところが嫁ぎ先で旦那が病を発病し、死去。若くして未亡人になってしまいます。

その後、関係を持った実の兄も暗殺よって殺されるという不幸が夏姫を襲います。そんな失意の中、彼女に幸運が訪れます。陳国の君主に見初められ、息子の就職口も見つかり幸せの絶頂を迎えます。

が、そんな幸せも長くは続かず何と夏姫の息子に暗殺され、夏姫の子供がその後の君主の座につくことになるです。

女遊びばかりで政務を全く行わず、苦役を市民に強いる。そんな怨嗟の声を代弁しての彼の行動だったのです。

この後、最愛の息子も楚の荘王に攻め込まれ殺されてしまうのですが・・・

最後は幸わせな暮らしが・・・

鄭に生まれ、陳に嫁ぎ、そしてたどり着いたのが楚でした。

絶世の美女と噂され、楚の荘王も初めこそ興味を示したものの関係を持った人間が、ことごとく死に追いやられるという話を聞き、彼女を妾にすることをやめ、部下の嫁に。

案の定、この部下も戦で命を落とし、彼女の魔女っぷりに拍車がかかるのでした。

で、このまま悪女で生涯を終えるのかと思いきや、楚で知り合った宰相クラスの巫臣と再再婚。

楚から鄭へ亡命し、斉へと渡り、最終的には宿敵の晋で余生を送ることになり、幸せの掴むことができたのでした。

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