未来を予見してたの?ネタバレ「ペイジン」

ハゲタカで虜に

投資ファンドの主人公を描いた作品「ハゲタカ」一躍注目を集めた作家、真山仁さん。主人公が恐ろしく先読みに秀でていて、敵対企業が次々と繰り出す難題を軽々と解決してしまう。そんな胸のすく作品だけに、僕自身、ハゲタカシリーズは全て読破。次回作がいつ出るのかいつ出るのかと期待待ち状態。

で、今回紹介するのが原子力発電所建設を描いた作品、ペイジンです。

主人公は熱血野郎

話の主題は、中国初の原子力発電所建設。それを日本人技術者がまとめ役として赴任し、発電所建設を成功せさようという話です。しかもこの大事業のお披露目はなんと北京オリンピック。国の威信をかけた国家プロジェクトと大きなテーマな訳です。

で、この主人公はと言えばハゲタカの主人公のようなキレキレの天才肌というよりも、努力家で慎重、繊細。和を重んじる典型的な日本人。ただし、発電所建設には人一倍熱量が高く、熱血野郎的な成分も持っています。

お国事情が垣間見られる

フィクションの世界なので、事実はどうかわかりませんが、文化の違いといいましょうか、とにかく中国人の仕事が雑。発電所内ではちょっとしたゴミでも大きな事故に繋がるのに、私物をそのまま放置したり、故障した機器を放置してしまったり。

ただ主人公は日本のやり方を押し付けるのは却ってチームの士気が落ちる。てなわけで頭ごなしに叱らずに、「何故ゴミを放置していはいけないのか」という所から、きっちり説明をして相手に納得してもらうという作業を粘りづよく行い、次第に部下も主人公の言うことを聞くようになっていくわけです。

全てが順風満帆だったはずが・・・

発電所で働くスタッフと日本人ボスも一体となり、色々と問題はあったものの何とか北京オリンピックの開会式に発電所が稼動できるところまでこぎつけることができました。

今まで苦労したけど、何とか国家プロジェクト成功の使命を達成できて良かったねで終わるはずが、その後に大事件が勃発。

何と発電所内で火災が発生し、電源が消失するというもの。まさに福島原発に近い事故が起きた訳です。で、思いました。これって震災後の作品?と調べてみると、作品は2005年頃に書かれたもので震災前。未来を予見していたの?とちょっとゾッとしてしまいました。

もう一つある未来の予見話

中国初の原子力発電所建設に加え、中国の腐敗撲滅というテーマも本作品で取り上げられています。発電所建設の利権をめぐり大物政治家が関与して、私腹を肥やすのは罷りならんという事で、逮捕に向けた活動を影で粛々と進めていきます。

これも現在の国家出席が掲げる「反腐敗運動」と重なる所があります。とにかくこの作品で腐敗を取り締まる機関が中国にあるのを知ったのは収穫でした。

最後は・・・

クライマックスは発電所火災が中心。次々と被害の大きさが明るみとなり、逃げ出したい状況になるにもかかわらず、主人公は仲間と一緒に消化活動を進めていきます。これ最終的にどう着地させていくんだろうという思いで、最後までハラハラドキドキの連続でした。