独身の日でもサーバーパンクせず正常稼働
アクセスが集中してサーバーがダウンしたって話をよく聞きますが、Amazonや楽天で、このような事故は聞いたことがありません。そもそも大規模なサーバーシステムを組んでいるので、そのようなトラブルは起きないのでしょう。
が、その程度にも幅があり、アリババの独身の日は、その程度を遥かに上回るアクセスが集中します。
ピーク時には一秒間で約60万件のアクセスがありましたが、サーバーはダウンすることなくシステムはは正常に稼働。1日でとんでもない額の売上を更新しました。
これもアリババが自前のシステム開発に長年力を入れてきたことが実を結んだとも言えます。
始まりは約10年前の脱IOEを宣言
10年前のサーバーシステムの構築にあたっては、米IBMのサーバー、米オラクルのデータベース、米EMCのストレージが一般的でした。
これらを用いてピーク時に備えるとなるとシステムがとてつもなく高額になり、閑散期にはこのシステムがオーバースペックになってしまうという弊害がありました。まぁ、それは致し方ないと諦めるのが一般的ですが、アリババでは、これを変えていこうと一大決心したのです。
その仕組みとは安価なサーバー複数用意して、連携させるというもの。これにより需要の増減に合わせてフレキシブルにシステムを稼働でき、かつこれまでのシステム開発よりも安価に抑えられるというメリットがありました。
自前で、しかもこれまでのシステムの構築方法は全くの別物。万が一、システム障害を起こしたらとんでもないことになるという不安はかなりあったかと思いますが、それを実行に移し、かつ成功させてしまうのですから、いかにアリババの技術力が高いのかが伺えます。
データベースは今や外販。他業種でも利用が進む
このサーバーシステムの構築に合わせて、自前でつくられたデータベースオーシャンベースは、19年のデータベースワールドカップにおいて9年連続トップのオラクルを引きずり下ろし、大差で優勝。脱IOEは間違っていなかったことが証明されたとも言えます。
2017年には銀行や保険会社向けに、オーシャンベースを外販。今後さらに広がりをみせていくことでしょう。
Amazonも自前のシステムを、AWSというクラウドサービスに成長させ、今や世界NO.1。これまでのノウハウを自社に留めず、外にも向けて普及させていくことで、大きな利益を獲得しました。
そう考えると、ECサービスは物売りを通じて、様々な商売のネタを持つ業種なんだとつくづく思いますね。
頑張れ、楽天、Yahoo、LINE
Amazonやアリババが技術力を高めた背景には、膨大なビッグデータを保有があります。それをうまく利用することで、様々なビジネスに発展させていきました。
翻って国内のビッグデータ保有会社はと言えば、楽天、Yahoo、LINEといった所でしょうか。
これらの企業がAmazonやアリババのようにサーバー構築やDB開発などで世界に発信できるような優れたサービスを生むことができれば・・・。
GAFAに備えて、日本も頑張らないととよく耳にしますが、連携によって規模を大きくするのも一つの手ですが、今ある資産、リソースを活かし倒すという、原点に立ち戻って自社の強みを今一度見つめ直すのもありかなと思った次第です。