経営状態はさほど深刻ではないのに・・・
銀行さんからお金を融資してもらい、事業を運用していくもの。その際、経営状態をこまかーくチェックされて、これならお金を返済できますねとお墨付きをもらってお金を借りられるわけです。
経営状態がひどいと、お金を貸してくれないばかりか、場合によっては、貸したお金を返せとばかりに手のひらを返したような態度で迫ってくる。世にいう貸し剥がしと言う奴ですね。
で、今回の商工中金のお話は、経営状態はむしろ良いのに、提出資料を改善されてむりくり銀行からお金を融資するというもの。
場合によっては貸し倒れの危険があるのに、どうしてこんな事ができたのか。
焦げ付いても国が補填
商工中金は、政府系の銀行なので、民間に比べると国からの援助が手厚いというのがあります。
それが融資して焦げ付いても、損失の8割を補償してくれるというもの。ただし全ての融資にこの制度が適応されるのではなく、自然災害や金融危機などの特別な場合のみに適用されます。これを商工中金では危機対応業務と呼び、きっちりと数値目標が各営業に割り当てられ、目標達成のために、法を犯してしまったというもの。
融資も結構大変だったのでは
とは言うものの、マイナス金利のこのご時世ということもあり、銀行もなかなか企業側からの融資を得られにくい。
加えて、商工中金の危機対応業務は、自然災害などのかなりレアなケースで、融資先も限られる。
そんな融資に不利な環境の中で、融資を獲得するものだから、民間企業からは民業圧迫という声も上がっていました。
加えて、本当に倒産スレスレの企業を延命させるという弊害もあるとの声も。
経営不振の企業は淘汰され、新陳代謝をしなくては経済は活性化されないという理屈なのでしょう。これから成長が期待できる企業にお金が回らず、この先厳しいかもという企業にお金が回るという不健全な状態を助長する動きを起こしていたとも言えるでしょう。
政府系金融機関はどこへ
小泉首相時代の郵政民営化と一緒に掲げられていたのが政府系の金融改革でした。
それまで省庁ごとに別れていた金融公庫を統合して、2008年に日本政策金融公庫が立ち上がりました。
で、その時に商工中金、日本政策投資銀行も民営化と決定していたのですが、リーマンショックと震災により、民営化は延期され、今に至っています。
今回の1件で、やっぱり早期に民営化して、公平な競争環境の中で、銀行業をやっていきましょうという話が持ち上がるかもしれませんね。
[amazonjs asin=”4496048140″ locale=”JP” title=”新米社長チワワvs政府系金融機関―ストーリーでわかる!企業再生と銀行取引”]