金貸しに多い無口・無表情
お金貸しの作品と聞かれば、ウシジマ君を挙げる人は多いはず。
主人公のウシジマ君は貸したお金は何としてでも回収する、情のかけらもない人。いっつも無表情で笑顔は一切なし。必要なこと以外しゃべらないという寡黙っぷり。
そんなウシジマ君にも通じるところがある本作品の主人公富男。ヤクザに脅されても、弟から絶縁状を叩きつけられても眉一つ動かさないメンタルの強さ。
唯一の違いは、哲学っぽい所。聞いていてほぼほぼ理解できませんでしたが、学で言えば富男の方が上なんんでしょう。
知る人ぞ知る金貸し屋
金貸し屋の事務所と言えば、汚い雑居ビルの1室というのが相場ですが、こちらは居酒屋。まず一般客で知ることはありえない。お金に困った人たちによる紹介でないとまず行き着けない。
となると、いらぬ心配ですが、返済能力の怪しい客ばかりが集まってくる恐れもありますね。
お通しと一緒に札束がドーンとカウンターに置かれ、一緒に携帯電話も渡される。お金を返済するまでは富男の管理下に置かれるというわけです。
とは言え、ブラックリスト化されている客ともなれば、踏み倒し、バックレ当たり前。
中でも、町工場に勤務しながらも金貸しにはまったOLが秀逸。堂々としています。
ごく普通のOLがモンスター化
田舎の町工場のあるある話なのか、女性の多い職場ではアクセサリーやかばん、お財布などをこまめにチェックしあい、職場内ではアピール大会がしれっと行われているようです。
おおっぴらにアピールするのではなく、相手が気づくか気づかないレベルでしれっとアピールする。
友達が気づいてくれればラッキ。有頂天となり、どんどん散財が進み、到底お給料だけではやっていけない。気づけば金貸し屋のお世話になり、そこからもお金借りられなくなり、富男のお世話に。
んで、この女の子、返済のために同僚の財布からお金を盗んだり、数億円あろうかと思われる彼の貯金をフンダクッて逃亡を図るわで、どんどんモンスター化していく様子がたまりませんでした。
全体に広がる重い感じがどうも・・・
が、富男君の銭にまつわる訓示により、大いに自分の行為を反省した彼女は、更生するのですが、この哲学っぽい所が、作品全体に重みをつけているようで、どこか暗い感じがしました。
ウシジマ君はどこかユーモな所があったので楽しめたんですけど、ゼニガタは、シリアスなトーンなので僕的にはちょっと重い感じがしました。