再び法王庁立つ。
何のための遠征だったのか?大枚はたいて船もいっぱい作ったのに、イエルサレムに向かうどころか、同じキリスト教徒の国を攻め、ヴェネチア共和国だけが得をしたという何とも奇妙な第四次十字軍。
音頭を取った法王が激怒するのも無理はありません。
てなわけで、仕切り直しとなった十字軍遠征。再び法王が高らかに聖地奪還を宣言したのですが・・・
どこも自国を守ることで精一杯
とにかく法王が強かった時代ですから、王様達も従わざるを得ない状況でしたが、各国とも王様が若かったり、周辺国との争いで、とてもじゃないけど、十字軍用に人を割くことなど無理。
どこの王様からも無理という回答が寄せられ、困った法王はイエルサレム王に白はの矢を立てます。
ご当地十字軍。ここに誕生
当時のイラスラム王は、法王から何かと援助してもらい、今の地位につけた人。救ってくれた人に足を向けることできない。
てなわけで、中東に住むキリスト教徒を集め、第5次十字軍をまとめあげるのでした。
これまでは十字軍と言えば欧州組でしたが、第5次ではご当時の兵士で構成したわけです。
これは十字軍の歴史の中では大きなトピックスとも言えるでしょう。
対するイスラム側は弱体化
対するイスラムはと言えば、サラディンという名将なき後、弟のアラディールが続き、キリスト教徒との平和的な関係が継続できていたのですが、彼も亡くなり、子の代になると、中東特有の仲間割れが勃発。
十字軍にとってはまたとないチャンスが偶然にも転がり込んだわけです。
イエルサレム返還を蹴る暴挙
まずは海港都市に狙いを定め攻略を進めた第5次十字軍。海からの攻め手は、ヴェネチア共和国ではなくジェノヴァ人。第四次ですっかり先に越されてしまい、挽回の意味もあったのでしょう。
戦果は上々で、あともう少しで陥落というところで、イスラムから停戦の提案が。それもイエルサレムを返還するという、とびっきりの提案でした。
イエルサレム王は賛成するも、同行した法王代理が、血を流してこその奪還ということで断固反対。加えてジェノヴァも商売的旨味はなしということで、法王代理の主張に乗っかるありさま。
こうして、イエルサレム奪還の好機を逃すというとんでもない失態を演じたのが第5次十字軍だったのです。
結局はアラディールの子のナイル川洪水大作戦にまんまとはまり、これといった戦利品を得ることなくほうほうの体で欧州に戻ることになってしまったのです。
何とも痛い話です・・・・