アパレル業界の勝ち組。ZARAだけど
トレンド商品を小ロットで回し、一気にさばく。これによりセール品に回す商品を少なくし、きっちりと利益を上げる。
これも全国に張り巡らされたトレンドウォッチャーの目利き力と商品化までスピード、そして強固な物流体制の賜物と言ってもいいでしょう。
かのユニクロでさえ遠く及ばない世界的トップレベルのZARAですが、コロナ禍による被害は、これまたご多分に漏れず甚大。店舗閉鎖を計画するに至りました。
店舗閉鎖規模は1000店レベル
コロナ禍で約90%の店舗が休業に追い込まれ、2020年2-4月の売上は対前年比で約50%ダウン。日本円にして約500億円の損失。
てなわけで、全世界え7400店舗展開するZARAですが、閉鎖店舗は1000店規模。対象は中・小規模のお店。売上に占める比率は5%程度と軽微。
とは言え、この閉鎖はコロナ後の新たな船出を宣言するもので、閉鎖はするものの、代わりに大型店舗を約450店ほど新規オープンする計画を打ち出しました。
店舗は販売から物流拠点へ
大型店舗の役割はズバリ物流拠点としての機能充実に置かれ、これまでの販売をメインとしたものから異なるもの。
現在、ZARAのEC比率は約14%。これを将来的には約20%に引き上げる計画を立てています。
その中で、機能するのが実店舗。商品の発送や引き渡しは店舗で行われており、新規オープン店もこの手の機能を充実したものなると予想されます。
大型店であれば、ストックも十分におけるし、トラックを横付けできたりとなにかとECには好都合。
業界のトップがこのような戦略に切り替えたことで他社も店舗経営のあり方を考える時が来たということでしょう。
ユニクロもいち早くシフト
ユニクロも既に店舗のあり方を模索している1社。販売はECと割り切り、試着する場、情報収集の場と割り切った実験店舗を既に立ち上げています。
試着もネットで予約でき、来店すれば待ち時間なく試着できます。
店内にはユニクロコーデの一般の方々の写真が飾られ、気に入ったコーデをタップすれば、店舗のどこに置かれているかがひと目でわかるようになっています。
この一連の消費者行動をデータとして蓄積し、商品開発にも活かしていくとのこと。これからのトレンドの兆しをキャッチにする上で有用な店舗形態ということが伺えます。
コロナ後の問われる店舗機能
アパレル業界にいたっては、コロナ後の対応としてZARAやユニクロの取り組みは大いに参考になるのでは。
販売はECに軸足を置き、店舗はブランドを体感、共感する場、購入するか否かを決める最終の場とする。
そうすれば自ずと店舗の在り方も見える気がします。
苦境にあえぐアパレル業界ですが、未来に向けた道が少しは見てきた感じがした次第です。