コロナを超える大不況。リーマンショック
今、世界の経済活動を停滞させているコロナ。景気の落ち込みがどんだけすごいのか、よく引き合いに出されるのが10年前に起きたリーマンショックです。
震源地アメリカではとんでもない数の失業者を出し、住まいを失う人もかなり多かった。二度とこのようなことを起こさないよう大手投資銀行はお灸を吸えられました。
本作では、リーマンショックを数年前から予測したトレーダー4人を追ったドキュメンタリータッチの作品。
事実に基づく話だけに最後まで興奮しっぱなしでした。
金融業界の風雲児。裸足のトレーダー
そもそもリーマンショックとは、住宅ローンを取り扱った金融商品で利回りがすこぶる良いと当時は吹聴されていました。
が、実態はと言えば、惨憺なるもので極端な例を上げれば失業者でも住宅ローンが組めてしまうという、ほぼザル状態の審査。
この裸足のトレーダーは住宅ローンに関する膨大なデータを分析して、将来的に住宅ローン市場は破綻することを予測。しかもリーマンショックが起きる3年前というのですから、いかに先見の明に優れていたか
熱血漢あふれる。瞬間沸騰トレーダー
彼の場合は、ある投資家から進言で未然にリーマンショックで大儲けした方。
ある投資家からの売り込みで、住宅ローン市場は破綻するという話を聞きつけ、本人も最初こそ不審に思ったものの、実際に住宅購入者に会ってみると、家はどこもかしこも売りに出されており買い手がつかない。売り主も失業中というもの。
この状況を見て不審が確信に変わり、彼も保険商品の買い増しを進めていったのです。部下からは猛反対を受けましたがさ、自分の信じる道を突き進み結果として成果を上げることができたのです。
一攫千金を狙う若者。偶然手にした書類が・・・
小さな小さな投資会社を営む若き二人。大型の売買をするのにある許可が必要とのことで、なかなかその審査が降りずくすぶっていました。
で、許可申請をお願いした会社でロビーに捨ててあった資料に目にすると、そこには住宅ローン市場の破綻。
世は誰もが疑わない鉄板の住宅ローン市場。常識を疑い破綻するにかけたの彼らの運命の分岐点とも言えるでしょう。
が、大口のトレーディングはできないまま。そこで頼ったのが大手投資銀行をやめて隠居中のお隣の男性。
断れる事覚悟で、話をしてみると意外や意外、すんなりとOKをもらい、彼の手助けもあり、大口トレーディングの申請が通ることになったのです。
受難の時でもブレないハートが、大きな果実を得ることに
こうして3組の住宅ローン破綻の前提とした投資活動は粛々と進められていきました。
案の定、破綻する企業が続出。予想どおり金融崩壊が起きるかと思いきや債権市場は全く影響しない。
住宅ローン破綻にかけた3組は、投資家達からもやんやの批判の声にさらされたり、親会社から叱責されるなど散々。大きな損失を出す前に方針変更を迫られますが、頑なに自分たちの考えを貫き通します。
風雲児トレーダーが毎日、収益率をホワイトボードに書くシーンがやけに印象的で、この時は毎日-20%と日を重ねるごとにどんどん悪化。
社員もほぼやめてしまったのか、オフィスには彼一人といった状況。そんな心折れそうな状況なのに本人はいたって冷静。
そして大手投資銀行が破綻することで住宅ローン市場破綻が顕在化。あの風雲児トレーダーの収益率は400%と爆上がりを見せたとか。
瞬間沸騰のトレーダーも、これまた大儲けするも多くの人が仕事を家を失ったことに深く心を痛めていました。人間の心を持っているんだなと。
今起きていることが、まさにこれでは?
金融商品は絶好調なのに実体経済は不景気そのもの。これってまさに今のコロナ禍の株価爆上がりにも似た感じさえします。
景気がいいから金融商品に手を出すのは熟考が必要かなと思った次第です。