1980年代なのにまだまだ黒人差別があったとは驚き
事実に基づく本作品。南アフリカで実際に起きた脱獄犯のお話だけど、この御方、なぜに投獄されたかっていうと、反体制的な活動を行ったからというもの。当時はアパルトヘイトの時代。差別のない社会を目指してちょっとビラが飛び交う軽めの爆弾を仕掛けたということで、即逮捕されちゃいます。
これが1980年代のというつい最近までの出来事であったことにあらためて驚かされました。
とは言え、確かに中学校の地理の授業でアパルトヘイトが今なお行われているということを思い出しました。
12年もの刑期なんぞクソ喰らえ
刑務所では、黒人の肩を持つ白人ということで厳しい目が向けられ、訳もなく殴られることも日常茶飯事。世直しということもありますが、12年間もムショ暮らしなんぞ、まっぴらごめんと彼は仲間と脱獄の計画をおこします
そもそも科学方面で国内では一目置かれる存在なだけに頭脳明晰。で、考えたのがスペアキーを使って脱獄を図るというものでした。
ところが、刑務所の中の重鎮に相談するも、失敗するからやめとけという冷たいお言葉。というのも、重鎮も何度も脱獄を計画はするも、その都度失敗に終わり、その罪で無期懲役を食らう羽目に。自分のようにはならないでくれという優しさから出た言葉だったのでしょう。
木製の鍵づくり。しかも10個以上とは
重鎮からは諌められたものの、彼の信念は揺るがず2年近くかけてスペアキーづくりを完了させます。
ここまで日数がかかったのは表に出るまでにいくつもの扉があるから。
ドラクエで言えば、金の鍵、銀の鍵、牢屋の鍵、魔法の鍵、その全てを駆使ししても刑務所が出られない。最後のカギという万能な鍵があれば話は別ですが・・・
監視スタッフの目を盗んでは、その形状を頭に焼き付け、それを木工工場で仕上げていくという気の長くなるよう話
スペアキーを差し込み、見事施錠できた時の興奮は何者にも変えられなかったことでしょう。
地味だけどハラハラドキドキの連続
スペアキーを作っては、監視員の目を盗んでは鍵穴で確かめる毎日。時には力任せに回したものだから、鍵穴の中でスペアキーが折れてしまったり、牢屋の中から鍵を開けようと自撮り棒的なものを使い試している最中に、鍵だけ外れて牢屋の前にスペアキーだけが転がったりとハラハラドキドキの連続。
監視員に見つかれば、恐ろしい体罰を喰らい、刑期もさらに伸びること間違いなし。最後まで続けてこれたのは、世直しという強い信念があったからでしょう。
決行の時。脱獄後も用意周到
ネタバレになりますが、最終的に彼は脱獄を成功させます。南アフリカからイギリスだったと思いますが亡命に成功し、アパルトヘイト廃止に関する活動を継続させ、1992年だったでしょうか、アパルトヘイトが廃止になりました。
この時に、僕もマンデラという言葉を新聞で知り、当時はそこまで凄いこととは思いませんでしたが、この作品を観てとんでもない歴史的瞬間に立ち会えたことに驚きました。
色々と勉強になった作品でした。