思い出される「泣いて馬謖を切る」
アフガンにおけるタリバン掃討作戦の実話に基づくお話。タリバン兵との攻防が最も激しい前哨基地は周囲が山に囲まれ守るには圧倒的に不利な場所。
歴史を振り返ると、過去にもこの地に野営した部隊が数では勝るものの全滅の憂き目に会い、地元民からは恐ろしい名前がつく程の場所。
この状況、どこか山頂に陣取った三国志の名将馬謖を思い出しました。周囲を敵に囲まれやすいのを知っておきながら、なぜそのような死地を選ぶのか。
馬謖は山頂に陣取った戦いに破れ、罰として死刑に処されるわけですが、この米国部隊も同じような危機に遭遇することになります。
最前線とは言え、米軍兵の肝が座った感に驚嘆
毎日のように周囲の山からタリバンの攻撃を受け続ける米国部隊ですが、これが日常とでもいいましょうか、「はいはいまた来ましたよ」という感じで、その都度、圧勝。
戦いがない時はお互いに冗談を言い合ったり、家族に連絡したり、恐怖におののくどころか日常と変わらない振る舞いに米国兵のメンタルの強さを感じました。
いつ死においやられるかという状況に置かれているのに、全くそんな事を考えていない感じが全兵士から感じられました。
オオカミ少年の遠吠えが悲劇の始まり
過去の歴史でもそうですが、地元民との融和が戦いを有利に進められます。ので、共通の敵タリバンを持つ周辺のアフガンの人達との関係には細心の注意を持って接していました。
中には貴重な情報を持ってくる人もいれば、毎回ガセネタを持ってくるアフガン人もおり、こちらに関しては米国兵も聞く耳を全く持たなくなったのです。
ところが、悲劇の戦いの当日、このオオカミ少年が放った「数百人のタリバン兵が襲ってくる」というのは本当の話。念の為、周囲の山に望遠鏡を向けると、とんでもない数のタリバン兵の山を下っている様子を発見。
こうして、米国史上最悪とも言える激しい戦いが始まったのです。
カオス状態なのに冷静に指揮を執る中尉に驚き
早朝ということもあり、お休み中の兵士が多かったこともあり序盤は劣勢。ほぼ全方向から弾が飛んでくる状況でバタバタと負傷者、死傷者を出す米国軍。
兵士もかなりのパニック状態ですが、こんな時に冷静な指揮を取って事態を好転させたのが前哨基地のボスとも言える中尉。
無線を通じて各場所と情報を取りつつ、的確に次の手を打ち、兵士たちに指示を出す。指揮官がいかに重要であるかを初めて感じたシーンとも言えます。
航空部隊に救援の指示を出し、その情報を兵士と共有して動揺を抑えたり、戦術的にどの場所を押さえれば、この事態を改善できるかを冷静に判断したり、はたまた冷静さを失い怒鳴り込む兵士たちをなだめたり、時には負傷した兵士の治療に当たったり。まさに八面六臂の大活躍と言ってもいいでしょう。
このまま全滅かと一度は諦めかけた戦いですが、危機を顧みず戦略ポイントを取り戻した兵士たち、そして飛行部隊によって何とか事態を好転させ、勝利を導くことができました。
久々に時間を忘れてどっぷりとハマった戦争映画でした。