巨大権力には抗えない
国家の暗部に入り込んでしまったイ・ビョンホン、チョ・スンウのお二方。
この先、人生を破綻させるような災難が降りかかろうと真っ向勝負を挑む姿が痛快そのもの。
けど、相手は国家。警察や司法、果てはマスコミにも手を回し、自分たちの都合の良いように事実を捻じ曲げ、大事件もなきものにしてしまう。
この勝ち目のない戦いに何度打ちのめされても、ゾンビの如く再び立ち上がり、自身の信念のために突き進む。
色々な意味で、考えさせられる作品でした。
やり手ビジネスマンの顔も持つイ・ビョンホン
本作品の主役でもあるイ・ビョンホン。反社の大ボスという役柄で、当初は国家の汚れ仕事を請け負うという立場で、数々の事件に関与し、あれよあれよと出世街道を爆進し、いつの間にか組織の大ボスに成り上がっていました。
加えて、金融、不動産、芸能事務所などビジネスマンとしても成功。表も裏も絶好調でしたが、出る杭は打たれるといいますか、上の人間は危険を感じたのか、お役御免とばかりにかなりハードめのお灸を据えられ、この世界から排除されてしまいます。
韓国も一緒?コネがなければ出世できん。チョ・スンウの悲哀
本作品のもう一人の主役は検事役のチョ・スンウ。実績抜群でエリートで、地方から全国区の検事は目前と期待されていたものの、残念ながらコネがものいう韓国社会。
自分よりも仕事のできない人間が全国区の検事に選ばれ、悶々とした日々を過ごしていました。
が、彼もまたイ・ビョンホンばりの生命力で、そう簡単にへこたれる玉ではなく、ならば大手柄を上げるまでとばかりに、単独で国家の不正を暴くことに邁進します。
ペンは剣よりも強しとはまさにこのこと
こうして、自分の裏の世界からはじき出した国家への復習と大手柄を上げたいと生きる糧を見つけた両者は偶然にも意気投合。
裏社会と表社会のツワモノがタッグを組むわけですから、これで国家の不正も暴けるだろうと期待しましたが、そこは韓国映画。そう簡単にエンディングには進みません。
マスコミを使った見事なまでの情報操作で、告発した二人が何故か誹謗中傷の的にさらされてしまいます。
拉致暴行といった手荒な真似をせずとも、世論を味方につけてダメージを与えてしまう国家の怖さを感じました。
重層的な復讐劇。最後は見事に騙された
こうして彼ら二人の国家の不正を暴くという大義は潰えたかに見えましたが、ここからが目まぐるしい事態が進展します。
まさか、おまえも国家の犬になってしまったのかと失望してしまうシーンもあったりなかったり
とにもかくにも最後まで目の離せない作品であることは確か。あらためて韓国映画はハズレがないと確信しました。