好景気に沸いていたのに裏では・・・
1997年に起きたアジア通貨危機を題材にした本作品。
実話に基づくものの色々とフィクションを入れてますという断りがあるものの、あまりにもリアリティがあって、これ全部本当の話ではと思うほど終始緊張感のある作品でした。
国家破産の危機を察したのは日本で言うところ日銀で働くある女性。彼女の報告書によれば早晩、韓国は破産するというもの。
一方、町中ではOECDに加盟し、経済大国の仲間入りと好景気ムード。
我の世の春を謳歌している韓国経済とニュースでも連日報道され、国家破産なんぞありえないという感じでした。
町工場までに至る不景気のスピードがこんなに早いとは
経済が右肩上がりと錯覚したのか、とある町工場では大博打に出ます。大口の顧客との取引話が持ちかけられ、それまで現金取引と手堅い商売をしていたのに、手形決済を受け入れてしまいます。
一方、政府は韓国銀行からの報告を受け、いかにして国家破産を回避するかを検討中。
国民には一切この状況を開示しなかったものの海外投資の引き上げ、借金返済の延長NG、果てはウォン高と益々状況が悪化。
韓国経済がヤバいかもと国民にも知れ渡ることとなり、好景気ムードから数ヶ月後に、いきなり奈落の底に突き落とされることになりました。
不渡り出して大企業が相次いで倒産
大企業を中心に不渡りを出す会社が続出し、倒産する企業が相次ぎます。
町工場の取引先の百貨店もご多分に漏れず倒産。手形が紙くずとなってしまい、工場は差し押さえられ、家を売る羽目に。
このように状況に追い込まれた会社が、1997年には非常に多かったことでしょう。
機を見るに敏。危機をチャンスに変える人
韓国経済が危機に瀕している中、一方で富める者がいるということもこの作品の勉強になる所。
会社を早々に退職して独立。韓国経済が破綻することを読み、ドルを買い漁り価格の下がった不動産を次々と買取、後に投資会社を設立。
まるでアメリカンドリームを見ている感じがしました。
韓国の目覚ましい経済成長がわかった気がする
IMFの介入にうよって国家破産を回避できた韓国。その後、サムスンやヒュンダイなど世界に名だたる企業の輩出しました。
その成長スピードは目を見張るものがありますが、ある意味、富める者はより豊かになり、貧しい物は淘汰、また退場させられるという厳しい現実もあります。
これもIMFのかなり厳しい経済対策によるもの。あれから20年。表面的には韓国経済復活という印象を受けますが、実は通貨危機の時に似た経済問題がまたまた発生しているとのこと。
韓国映画ならではのハッピィエンドにならない終わり方でしたが、最後に強烈なカウンタパンチを食らい、あらためて韓国映画の奥深さを知ることができました。