新規事業を・・・と言うけれど
今や多角化経営がもてはやされる時代。本業とはちょいと外れた全く経験のない領域にまで踏み込まないと会社の生き残れない。
そんな風潮が今の世の中を覆っている感じがします。
社内公募制やらカンパニー制などはその最たる例でしょう。けど、実際に事を起こすとなると、それはそれで大変。出資者に対しての説明がその大半を占め、肝心の事業開発に割く時間はほとんどない。
特に大企業ともなればその傾向は顕著な気がします。
短期的な成果追求の病
新規事業ともなれば、最初は赤字で数年で黒字になればいい位の流暢な考えは今の世の中通用しない。
というのも、株主に対しての申開きができないから。
2008年から上場企業は四半期決算を公開することが義務付けられました。これにより短期利益を出さないと株主からはヤンヤ、ヤンヤの非難轟々状態。
ので、すぐに1年で開発資金を回収できるような商品でないと、中々、開発GOが出ない状況です。
石橋を叩いて渡る病
リスク回避は商品開発にとっては重要。PL法に抵触すれば、小規模なメーカーでは倒産するほどの賠償金を支払わされることでしょう。
なので、様々な実験を複数回こなすのは開発においてはマスト。
が、これが過剰しすぎて、タイミングを逸することも。
どこまでリスク回避を行うか、その線引が非常に難しい所もありますが、石橋を叩いて、叩いて、一旦おいてもう一度叩く位までの慎重さはなくてもいい感じがします。
完璧主義という病
世の中に絶対はないというのが僕の上司の教え。
なので、そうカンタンに僕も絶対という言葉は使いませんが、商品開発の世界では、どうもこの絶対を徹底する風潮があります。
けど、初めから100%を目指すとなると、市場に出る前に頓挫ということも。
例えば、パソコンも購入後に更新プログラムが送信されるように、初めから100%ではありません。
市場に出してから、その声を聞きながら性能を100%に近づけていく方が有益です。
ソフト開発にも言えること
先に触れた3つの病は、大企業メーカーの新商品開発に関する話が中心ですが、大小かかわらず、このような話はどこにもあります。
ソフト開発の世界も同様。
ローンチ前に、あんなに時間をかけてバグ取りをしたのに、実際に稼働してみたら、予期せぬトラブルがゴロゴロ。
という状況を踏まえると、少々乱暴ですが、半生焼き状態で市場に出してもいいのかなという気持ちにさえなります。
いずれにしても、スピードが命のご時世。時代に合わせた開発スタイルに変わらければ生き残りもままならないと感じた次第です。