素直に喜べない円安。製造業も慎重姿勢に終始

金融為替話

イマイチピンと来ない。20数年振りの1ドル135円。

米国との金利差を受け、円を売ってドルを買う動きが加速し、円安がものすごい勢いで進んでいます。

一昔前では円安と言えば、日本のような輸出に頼る国では歓迎されていたのに、今回の円安は度を越えた物価上昇を招き、逆に歓迎されていません。

輸出をメインとした製造業も予想よりも利益が大幅にアップしたのに、高揚感はゼロ。むしろ勝って兜の緒を締めよといった感じがします。

この先のことを考えると気が休まらないのよ

物価高は円安が主要因と言われていますが、他にもウクライナ危機であったり、コロナの影響も少なからず影響していることは確か。

てなこともあって、企業側で設定する為替レートもかなり渋め。かつ慎重。

1ドル130円が続く為替レートにあって、トヨタ、デンソーなどは115円、本田が120円、三菱自動車が122円と控え目な設定。

今回の円安も一時的なものであり、通期で見れば、今よりも落ち着くのではないかという意見も。

さらに円安とて素直に喜べない事情もあります。

海外拠点の儲けは、その国で消化

過去のの行き過ぎた円高の教訓を経て、多くの企業が海外での生産に舵を切りました。

国内の雇用を守ると宣言したトヨタでさえ、海外生産比率は10年前に比べると僅かではありますが増えています。

で、儲けたお金をどうするか、これまでは円に換金といのが相場でしたが、現地スタッフの給与であったり、設備投資などに、そのまま使う、地産地消が増えてきたとか。

円安であろうと、素直に喜べないというのはこのような事情があってのことなのでしょう。

日銀の踏ん張りどころ

今回の円安で矢面に立たされている日銀。頑なに現在の円安容認の姿勢を変えていません。

今、利上げしようものなら、コロナ禍が明けて事業を復活させようとする事業主にとってはマイナス。高い金利で銀行さんからお金を借りるなんてことは苦しいでしょう。

加えて為替介入という伝家の宝刀もアメリカからはOKをもらえていない。

食用油が250円近くまで上がるのは家計を預かる身としてはつらい所でしょうが、もうしばらく我慢が必要なのでしょう。

企業も賃金アップはしたいだろうけど、無い袖は振れない状態。

とにもかくにも、この異常なまでの円安が早く収束してもらえないかと切に願うばかりです。

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