工場を閉鎖する企業がある中で・・・
コロナ禍で工場の稼働を一時的に停止したり、閉鎖したりと暗いニュースが飛び交う中、工場を新設するエーワン精密。
その理由を知ると、理に適っていると納得しました。
工場建設などの需要が落ち込む中での発注は、通常時に比べ費用が2~3割程度抑えられるとのこと。
どの業界でもコロナ禍で仕事がストップまたはなくなってしまったことは多いはず。と来れば、仕事欲しさにこれまでの価格よりも下げて交渉せざるを得ない。
そんな心理状態を完全に見透かした感じさえします。
思い返せばリーマン直後にも建設してたっけ
エーワン精密は2009年のリーマン直後にも工場を建設しており、今回はコロナ禍での建設。
とは言え、需要が急減する中で生産量を増やしても需要がないだけに過剰在庫になってしまうのでは?と素人ながら疑問になりました。
が、過剰生産にもきっちりと利益を得ることができれば、過剰ではなく意味ある生産となります。
設備量の過剰は値下げ拒否に有効?
どの会社も需要減で工場の稼働を抑えるとなると、これまでの納期通りに生産することが難しくなり、場合によっては納期が伸びることも・・・。
が、エーワン精密の場合は、逆に生産能力を維持どころか、増し増し状態のため、短納期案件でも対応できます。
他社が1-2週間かかる案件を、翌日には納入できるという恐ろしいスピーディさを実現。これがエーワン精密の強さの源泉と言ってもいいでしょう。
6割が言い値。残りは破談の潔さ
世に言う特急料金。通常よりも短納期で仕上げることで、その価値に対する対価を提示するというものです。
業界によっては短納期で対応しても請求できないことが多々あり、さらに後出しじゃんけんのごとく納品後に、値下げを要求してくれることも・・・。
下請け業者の辛い所ではありますが、エーワン精密は、一切の値下げ要求には応じず、お断りすることもしばしば。
つまるところ、短納期で品質も担保されている、その価値に対価をお支払いできない企業とはお取引できませんというもの。
全く、うらやましい限りです。一度でいいから、きっぱりとお断りしますと言ってみたいものです・・・。
ちなみに見積もった案件の6割はエーワン精密の言い値。残り4割は値下げ要求に応じた数。かと思ったら、お断りした件数とのこと。
逆張りは時には競争力を高めることに
設備を増強するのはもちろんですが、人員も不景気ながらもきっちりと雇用しており、他社とは逆を行くこの戦略がエーワン精密の強みだなと思いました。
不景気の中、工場稼働をそのままに、人員整理も一切行わない。リスクは高まるばかりですが、他社にはない強みがあれば生き残ることができるんだなと納得した次第です。