ウクライナ危機に対する世界の対応
ロシアによるウクライナ危機により、これまでの武力という対抗手段から金融制裁や経済制裁で対抗しようという動きが鮮明になってきました。
これによりロシアの弱体化を目指すわけですが、古代中国になぞれば兵糧攻めとでも言いましょうか。即効性はないものの、ジワジワとロシアを苦しめることは確か。
SWIFT、村八分って何?
ま
ず最初に行ったのが国際銀行間通信協会SWIFTからのロシア排除。この金融制裁で初めて、この機関の存在を知りましたが、村八分にすることでロシア国内の企業は輸出入の決済や海外からの投資や借り入れが難しくなるというもの。
平たくいえば、外貨獲得の機会が厳しくなる。つまり家計になぞれば、パパが失業して無収入状態が続くというわけです。
SWIFTとセットで効果を発揮。資産凍結
さらにロシア中央銀行が保有する外貨準備の凍結。これにより貯金さえも差し押さえられた格好となり、身動きが取れない状態となり、ハメ技をしれっと決め込んだという訳です。
外貨準備という貯金も自由に使えず、かつ将来の収入を絶たれたとなれば、大国ロシアと言えどもお金がかかる戦争は、そう長くは続けられないでしょう。
金融制裁&経済制裁は武力抑止の最適解?
今回のウクライナ危機で、武力に頼らないこの手法は既に過去にも行われています。
例えば2012年のイラン。核開発疑惑の中でSWIFTから排除され、原油の輸出量は半減。対貿易額も30%ダウンしたとか。
これにより2015年7月には、金融制裁の緩和と引き換えに核開発の制限を受け入れました。
北朝鮮に対しては、核ミサイル開発の資金源を断つべく、銀行や保険会社の資産を凍結。とは言え、北朝鮮は未だ白旗を降る気配もない。もしかしたら別ルートで外貨獲得をしているかもしれませんね。
基軸通貨ドルあってこその制裁
国際決済額のシェアを見ると米ドルとユーロで約40%と8割を占めている状況であり、この前提があるからこそ、今回の金融制裁、経済制裁が機能しています。
ドルにいたっては第一次世界大戦を機にそれまでの基軸通貨ポンドからその座を奪い、既に100年近くが経とうとしてします。
100年以上も続くというのは凄いことですが、最近では外貨準備金におけるドルの比率は低下傾向にあり、往時の強さにやや陰りが見えつつつあります。
基軸通貨を制する国は世界を制す
今でこそ国際決済額のシェアは約1%の中国ですが、アジアを中心とした経済圏「一帯一路」づくりに力を入れています。これを人民元経済圏づくりの一環と考えることもできます。
一帯一路に参加している国は64カ国。GDPで言えば世界の約3割を占めており、ドル、ユーロに並ぶ規模とも言えます。
今回のウクライナ危機をきかっけにいかに基軸通貨が重要であることを知りました。ここを抑えておけば金融制裁がかなり有利に進められると。
気になるのはルーブルが持ち直していること。プロの投資家の判断は想像を超えています・・・。