社会問題化で免許返納5倍。
高齢ドライバーによる事故が多発した2019年。これまで積もりに積もったこの問題が一気に社会問題化した年でもありました。
これらの事件をきっかけに芸能人が免許返納をメディアを通じてアピールするなど、日本全国免許返納キャンペーン状態。
このキャンペーンが功を奏したのか、免許返納は5年前の約3倍に増えました。高齢者本人としても、俺はまだまだ現役とばかりに子供の勧めにもきっぱり断っていたものの世の中の流れには逆らえなかったのでしょう。
これで少しでも高齢者による事故が減ることを願うばかりです。
空きスペースはアキッパで再利用
免許返納が進む中で、問題となるのが駐車スペース。一戸建て車庫付きのマイホームを手に入れ、駐車場スペースをかなり取り、場合によっては2台分のスペースを確保しているお家もあります。
が、免許返納をしたことで、この有用なスペースが不要スペースになってしまうという何とも切ない状況に陥ってしまいます。
これを解消しようと、空いた車庫スペースを有効活用しようと、時間貸しするサービスが普及仕出しています。
最大手のアキッパがこのサービスを提供。高齢ドライバーの返納で収入が減った保険会社が、アキッパを紹介するというもの。
アキッパとしてみれば、保険会社と提携することで労せずして駐車スペースを獲得できる。
保険会社は保険解約後も、顧客との接点を頼める。
顧客は駐車スペース貸し出しでお小遣いできるという三方良し状態がここに誕生したのです。
捨てる神あれば拾う神ありとはまさにこのこと。この点をもう少し強調すれば家族の説得にも応じてくれるのではないかと思いますね。
送迎サービスはイマイチ
他にも免許返納で新たに生まれたビジネスが送迎サービス。リクルートが主催する高齢者送迎サービス。数人でお金を出し合って生活の足となる送迎車を確保するというもの。
一見、ビジネスとして成功する感じはしますが、実証実験段階で頓挫。過疎化地域ではニーズはあるものの、実運用するにはハードルが高いとのこと。
タクシーなどの既存ビジネスとの折り合いがつかないのが原因だと思いますが、とは言え、買い物難民を増やすこともあり、何かしらの対策は必要だと思います。
ウーバーが日本でも導入OKとなれば話はスムーズに進むとは思うのですが、もう少し時間がかかりそうです。
高齢者向けに自動車も進化
家族に何と言われようと、社会の目が厳しくなろうと意に介さず、クルマを運転し続ける頑固な高齢者向けのサービスとして自動車メーカーも力を入れ始めています。
クルマをつくる会社の責任とでも言いましょうか、事故を減らす、なくす一環という文脈にも通じるものがありますが、今後は自動ブレーキシステムを全車に標準装備にしていくようです。
既販車には後付できる自動ブレーキシステムを販売するなど両面でも対策を施しているところがミソ。現在はトヨタだけのようですが、他社も後付自動ブレーキシステムを発売していくことでしょう。
最適解はこれからでしょ。
免許返納はしたけれど、その後の高齢者向けサービスがプアなのが今後の課題でしょう。
特に日常の足をどのようにして確保していくかが問題。アキッパで得た収入を送迎車の支払いに使えるというスキームができればベターなんでしょうけど。
タクシー会社、アキッパ、保険会社の3者が手を組めば為せる技かと思うんですけどね・・・。