かつては環境先進国だったことに驚き
1970年代に2度発生したオイルショックを持ち前の節約志向でこの危機を乗り越えたり、太陽光発電の開発でも世界をリードする存在だったり、果ては97年の京都議定書では模範生として日本が選ばれたりと、かつでは日本は世界から認められるほどの環境先進国でした。
ところが90年までの20年間でエネルギー効率を4割近く改善しましたが、その後は横ばい状態。90年の二酸化炭素排出量が0.26kg。で、20年後の2019年は0.20kg。わずか0.06kgにしか削減できていません。
一方、ヨーロッパのそれは90年では日本に比べ多かったものの、2019年には0.15g。20年間で約半分近くにまで削減しており、日本の環境に対する取り組みの甘さが浮き彫りになる格好となりました。
原発が復活すれば・・・で無駄にした10年
2011年の震災以降、原発頼りのエネルギー政策は壊滅状態となり、その後は火力に頼る日本。原発が復活すれば二酸化炭素の排出は抑えられるというわけで、世界に比べると再生エネに対する取り組みが甘かった感じがします。
震災を契機に、あちらこちらに太陽光パネルが設置され、自然エネルギー社会の到来を身近に感じていましたが、世界はそれを超える取り組みをこの10年でしてきたのです。
諸外国のエネルギー構成を見ると、欧州の自然エネルギー比率は約30%、中国も約27%。一方の日本は19%止まり。環境汚染が社会問題化された中国に後塵を拝する状況には驚きましたし、中国の本気にさせたら、とてつもないパワーを発揮することをあらためて感じました。
益々厳しくなる脱炭素社会の取り組み。
ある意味、日本にとって代わって環境先進国となった欧州、中国では、さらなる脱炭素社会に向けた取り組みが活発化。
製品の生産過程で生じる二酸化炭素の排出をチェックするライフサイクルマネジメント規制の導入も検討しているとか。
これが導入されようものなから、火力発電に頼る日本勢はかなり厳しい状況に追い込まれてしまいます。
さらに新大統領の元、環境意識が斜め上を行くアメリカでは、温暖化対策が不十分国・地域からの輸入品に関税を設ける炭素国境調査措置の導入を検討しているとか。
クルマづくりに大きく影響。国内生産がゼロになる?
このように脱炭素社会への取り組みが、単なる掛け声ではなく経済にも大きく影響している時代が現実のものになろうとしています。
となると、日本の経済支える自動車業界は、自然エネルギーの普及が進む国での生産を余儀なくされ、国内で生産される台数も減らしていく必要が出てきます。
最悪、ある車種においては国内生産ゼロ。全て海外生産へ切り替ということも起き得るでしょう。
そろそろ本気を出さないとの日本勢
国内の経済界から、そして諸外国からのプレッシャーを受けたのかどうかわかりませんが、先日、2030年に2013年比二酸化炭素排出46%削減を発表しました。
当初の目標が26%ですから、約倍近い目標の引き上げ。わかりやすい所で言えばEVの急速充電器の3万台設置などしょうか。
2019年時点で19%削減まで来ておりますが、46%を達成するには倍近い削減量が残っています。2030年まで約9年。少なくとも毎年3%削減していかないと到達できないという計算。
現状では環境先進国という看板を欧州、中国に明け渡す格好なっていますが、再び環境先進国として世界から尊敬される国になって欲しいと思った次第です。