どっちつかずの店舗を大改革。プロント
カフェ&バーのプロント。昼間はカフェで夜はバーという運営のこのチェーン店は、厳しい外食産業にあって増収増益を続けてきた優良店。
その優等生が、コロナ禍で大胆な改革を行ったというもの。調子が良ければ何も変えたくないという所、将来を考えると今のうちにという思いが働いたのでしょう。
その改革とは、店舗の見た目。これまではお昼と夜では同じカフェという見え方でしたが、夜は大きんなのれんをかかげ、ピンクのネオン灯などの装飾品をつけてガラッとイメチェンしました。
この改革に至った理由としては、コロナ収束後も、他社に比べ客足が戻らなかったことから。コロナを経験したビジネスパーソンは、サクッと立ち飲みして、帰宅という行動が増えるだろうと。となると、プロントはそんなお客には持ってこい。
が、実際に蓋を開けてみると、管理職層は、早々に帰宅する人が多く、若年層は逆にガッツリと飲みたい。てなわけで、どっちつかずのプロントでお酒を楽しむという店としては選ばれませんでした。
コロナ禍で自宅待機が長引いたことで、フラストレーションもかなり溜まっているもんだから、それを解消させて、満足のいくものを提供できない。外食産業にとっては、コロナにより、一層、お客に選んでもらえるハードルが高くなった気がします。
大手ファミレスもいよいよ参入。デリバリー専門店
コロナ禍前から、デリバリを専門にしたお店は流行っていましたが、どれも個人経営の小さな店舗ばかり。それがコロナによりデリバリ需要が急増したこともあってか、大手ファミレスもデリバリー専門に参入しました。
デニーズ新宿御苑店が、まさにそれで、お昼の忙しい時でも5人で回せちゃうし、出店コストも通常の1/3とかなりお得な店舗形態。
これを店舗運営と併用となると負担も重くなる。デリバリーに特化することで機動性も高められ、コスト低減にもつながっています。
今後も、デリバリーに特化した専門店が増えていくことでしょう。
目的来店型を狙い、様々な工夫を実施
プロントの例を見るように、より一層、あのメニューが食べたい、自宅とは異なる空間で食事を楽しみたいという欲求は益々高まっていくでしょう。
これを目的来店という呼ぶそうですが、その来店を狙って、例えば店内にリモートワーク用のスペースを設け、仕事場としてファミレスを利用する層の取り込みを狙ったり、ロイヤルホストの場合は、店内をよりゆったりとしたスペースに改装して、自宅では味わえないくつろぎの空間を提供したりと各社、様々な取り組みをしています。
外食という定義が、食事を楽しむ場から、自宅にはないものを提供する場に変容していっている感じがします。
唐揚げ屋がやたらと多い理由
聞いたこともない団体の賞レースで金賞受賞しましたと、よくみかける唐揚げ。日本人にとって馴染みあるこのメニューが、コロナ禍で線も店が激増しているとか。
2017年は約430億円の市場が2020年には1050億円という倍以上の市場に大化け。大手ファミレスのガストも唐揚げブランドを立ち上げるなど、大手から個人店舗まで玉石混交状態。
中の人曰く、設備、店舗スペースなどはさほど取らず、かつ利益率が非常に高いというのが選ばれている理由だそうです。
家庭で揚げ物が敬遠されるということもあり、これも自宅では味わえないという点にあてはまるかなと。加えて揚げ物も数多くあれど、からあげに特化した点も成功している要因だと思います。
とにもかくにも、コロナを経験したことで外食に求められるものは、より厳しくなったことは確実。さらにハードルが高くなってしまいましたが頑張って欲しいと思った次第です。