時には撤退する勇気も必要。東芝のLNG問題

沸きに湧いた海外初受注

2009年、東芝が海外原発の設計・建設を受注しました。当時は震災前。海外にも原発を広めようと国を挙げて一気呵成に勢いのあった頃です。

こちらの原発、初の海外受注案件で総事業費1兆円。東芝社内では、とてつもなく盛り上がったことでしょう。何てたって1兆円ですから。

原発

震災により状況が一変

喜んでいたのも束の間、2011年の震災を機に状況が一変

共同出資者の東京電力、米電力大手のNRGエナジーが次々と撤退。ここで東芝も一緒に船を降りればよかったのですが、1兆円という金額が冷静な判断を邪魔したのでしょう。

新たな出資者、安定顧客の獲得の道を選んだのでした。

LNG

捨てる神あれば拾う神あり

そんな東芝の苦境を救ったのが経産省からのLNGのお話。参加要請の話を受け、これならば原発事業の安定顧客になり得るだろうと踏み、経産省からの依頼を承諾しました。

LNGが安定顧客になり得るというのは、天然ガスの液化では膨大な電力を消費するから。

契約条件が年間400億円で、それが20年も続くという高いハードルでも、原発とセットに考えれば行けるでしょと考えたのでしょう。

当時はLNGにとっては追い風

加えて当時のLNGは原油価格と連動して、1バレル100ドル前後の高い金額を維持していた頃。一方の東芝のLNGは、それらに比べても圧倒的に安い。であるから、LNGを毎年400億円売ってきてね。と言われようが、意に介さなかったのでしょう。

逆にもっと売りまくって利益まで出しちゃうよ位のイケイケドンドン状態だったと思います。

まさかの原油価格下落

ところが原油価格が急落。連動して各国のLNGも値を下げ、東芝産LNGの価格競争力もなくなり、原発不調に続いての第二の苦境に陥ることになってしまいました。

今では割高な東芝産のLNG を購入する必然性はないとも言われ、さらに今ではLNG自体、世界的に在庫がダブついているという状況。

益々売り先が厳しくなっている状況。

契約の440億円売ってこいよの開始は2019年から。それまでに大口顧客を見つけないと、東芝はさらに苦境にさらされることになります。

原油

大きな決断が全て裏目に。

以上の流れを見るに、1回目の分岐点は原発を撤退するか否かという点。共同出資者が次々と撤退する中で、一緒に撤退していれば被害はもう少し抑えられた気がします。

続いてはLNGの参加。これも経産省の甘い言葉に乗らなければ・・・と悔いているんじゃないでしょうか。が、状況が原発ダメージの補填と考えると乗っかってしまうのも無理もない話だと思います。

契約時に、違約金を払えば解除できるというのを付け加えていれば、この先苦しむ事もなかっただろうに。

規模は象さんとアリンコレベルですけど、自分もこの教訓を参考に、イケイケドンドン的な性格を少しは自重しようと思った次第です。