カネボウ破綻から早10年
資生堂と並んで、化粧品メーカーの最大手のカネボウ。債務超過に陥り解体されてから10年が経とうとしています。
当時を振り返ると、ここまで悪いことがよくもまぁ続くものかと中の人は相当打ダメージが大きかったはず。
繊維事業が109億円の赤字を垂れ流し、債務超過に陥り、産業再生機構の支援を受け入れ。これで首が繋がったかと思いきや、続けて巨額の粉飾決算が発覚。まるで今の東芝を見てるようですが・・・
ということもあり、カネボウは解体されることとなり、化粧品を除く3事業がファンドに売却されます。
その後、社名を今のクラシエに変え、09年にホーユーの傘下で再スタートを切ることになります。
といった具合に目まぐるしく環境が代わる中で、落ち着いて仕事に打ち込むこともままならかったと思いますが、しっかりと復活の道を歩んでいるのですから、さすがといった感じです。
押し込み販売はどこも一緒
どの業界でもよく耳にする押し込み販売。小売店に頭を下げて商品をとりあえず買ってもらって見せかけ上の売上を作る。ただ押し込んだ商品が実際に売れなければ在庫となり、引取回収または安売りせざるをえなくなります。
で、結局の所、赤字覚悟で販売して、結果的には儲けがじぇんじぇんない、むしろ赤字という残念な結果に終わる。
わかっちゃいるけど、会社からは対前年は死守しろと厳命が出ているので、それを達成しないわけにはいかない。
というわけで、この押し込み販売→多額の赤字を繰り返すことで会社の体力はドンドン削られていくわけです。
カネボウの破綻もこれに起因していたわけです。
新生カネボウは利益重視
この過去の反省を踏まえ、クラシエでは売上高至上主義から利益至上主義へ転換。売上規模はカネボウ時代に比べると小さくなったものの、しっかりと利益を確保することで健全な経営を手に入れ、右肩上がりで利益額も推移するまでに復活することができたのです。
しかも、今まではクローズだった販売実績やコストをオープンにして今の会社の現状を広く社員に認識してもらうこととし、社員の発奮を促すことに成功しました。
オープンに際しては、ライバル会社に漏れたらどうする?、逆に社員のモチベーションが下がるというオープンを懸念する声もありましたが、結果的には良い方向に転んでいるようです。今の状況から見るに。
企業再生の好例
この売上至上主義は、どの会社にも言えることですが、立ち止まって考えると赤字覚悟でやるのは確かにいかがなものかと。規模を追うのではなく、持続的な経営に軸足を置いた方が良いでしょうと思った次第です。
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