バーバリーで大変な三陽商会
バーバリーとの契約が切れて早2年近くが経とうとしています。
三陽商会の業績はと言えば、四天王の中で業績の悪さが目立ちます。
オンワード、ワールド、TSホールディングが業績は落ち込んでいるものの、16年度の第3四半期までの累計9ヶ月間で営業増益を確保しているものの、三陽商会だけは未だ出口が見えない状態。
未だにバーバーリーの後遺症から抜け切れていない現状が見えてきます。
成り立ちは軍需品
三陽商会の設立は1943年。戦後の進駐軍のレインコート1万着の特需で一気にアパレル会社の雄として脚光を浴びました。
その後は、当時、最強を誇ったチャネルの百貨店に対しての出店に力を入れていきました。
当時の百貨店は高度成長期にも重なり需要も旺盛で、モノを置けば売れるというありがたい時代でした。
60-70年代になると品質に力を入れ始め、専門の部署を設けるまでに。
百貨店ですから、お客様の商品を見る目も厳しい。そのお眼鏡に叶わなければ三陽商会は評価されないと思ったのでしょう。
この品質重視が三陽商会のブランド力を高めるとともに、後にこれが三陽商会を苦しめる結果となったのです。
盟友との出会い
技術力の高い企業という噂を海を超えて伝わり、長年の盟友となるバーバーリーの目に留まることになり、バーバリーとの提携が決まったのです。
三陽商会が作ったサンプルを見て、バーバーリーは、びっくりしたほど、その品質は一級品でした。
海外ブランドにも認められたことで、品質により自信を持ったのは言うまでもありません。
時代の変化は恐ろしい
百貨店を中心とした商売、バーバーリとの契約により80年代-90年代は順風満帆。
が、90年台後半になると状況が一変。日本を覆うデフレマインド。世の需要はより安くという方向に映り、世間でも専門店などが注目しはじめました。
その被害者と言うべき百貨店は売上がダダスベリ。生き残りをかけ2000年代になると合従連衡が盛んになり、店舗の削減もこの頃を皮切りに始まり、今では、どこそこ店閉店と言われてもさほど驚かなくなるほど一般化してきました。
三陽商会も同様に被害者と言えます。ある意味百貨店基準で商品開発を行ってきたわけですから、今さら、総合デパート品質と言われてもといった感じです。
もっと早く気づけば・・・
現在の三陽商会の状況を見るに、品質重視路線が仇となったというむきもあります。
百貨店以外の販路にも力を入れ、店舗水準に合った商品を出せばと。
ただ個人的には、脈々と続く、その品質重視の思想は曲げずに貫いて欲しいと思います。
遠い昔に、三菱が人気のパジェロに廉価版のパジェロを出したり、軽自動車版を出して、パジェロブランドを大きく毀損した、その件を見ている感じがしてなりません。
頑張れ、三陽商会