世界中で大迷惑
鉄鋼の過剰生産で世界中からひんしゅくを買っている中国。
政府も本腰を入れて過剰生産抑止を推進しています。
その生産量たるや、2016年を例に取れば、約8億トンの粗鋼を生産しており、これは日本の粗鋼生産量の約4年分に匹敵します。
この大量の粗鋼、品質が良いのであればまだまし。粗悪品だらけが始末が悪いのです。
粗悪品「地条鋼」
江蘇省、新沂市(しんぎ)の鉄鋼メーカーが、粗悪品の地条鋼を生産したということで、政府によって閉鎖に追い込まれました。
まずこの地条鋼とはどういうものかと言うと、品質の低い鋼材のことで、クズ鉄を溶かして固め直しただけのもの。
ひどいものになると、人間の力を加えただけで曲がってしまうというほどの強度の弱さ。
これが建築物に使われていることをゾッとします。
この鉄鋼メーカーに限らず、地条鋼を生産している鉄鋼メーカーは鉄鋼の供給過剰を引き起こしている元凶とばかりに政府は取締強化に乗り出しました。
地元政府が反発
共産主義なので、上意下達が徹底しているのかと思いきや、さにあらず。
この新沂市(しんぎ)の鉄鋼メーカーもお国から再三、生産停止を呼びかけていたものの、地方政府は頑なに拒み続けズルズルと。
逆に地域の雇用を促進したということで表彰するほど。地方にとっては税収面でも恩恵を受けてますし、お上からのお達しと言っても、そう簡単には受け入れられなかったのでしょう。
結局は、閉鎖に追い込まれるにいたったわけですが、この新沂市(しんぎ)の1件も氷山の一角で、様々な都市でこのようなことが起きていることが容易に想像が出来ます。
なるか1億5000万トン削減
中国政府は2020年までに、鉄鋼生産を1億5000万トン削減を掲げ、現在削減に向け取り組んでおり、2016年には、その半分近くの6500万トンの削減に成功しました
さすが1党独裁とでも言いましょうか、このスピード感は日本では到底無理でしょう。
ところがこれからが大変。2020年まで残り4年で8500万トンを削減となるわけですが、既に削減した6500万トンは、取り組み前に閉鎖した企業も含まれており、言わば政府の力で閉鎖させたわけではない。
としかも地条鋼を生産する鉄鋼メーカーも含まれていないことを考えると、これからが正念場というところでしょう。
じわじわと取り組み効果が浸透
今までは、需要は旺盛になると粗悪品をメインとした鉄鋼メーカーが生産力を高め、優等生鉄鋼メーカーの値崩れを引き起こしていましたが、今では、そのような動きもなりを潜め、需要が旺盛になっても、粗悪品鉄鋼メーカーの動きはないとのこと。
これならば自助努力が重なって1億5000万削減は達成できるかもです。