まさに寝耳に水状態。6年近く拘束
米国同時多発テロの関与を疑われ、最終的には無実を証明されたモーリタニアン人のタハール・ラヒム演じるスラヒ。
ほぼほぼ面識のないテロに参加した人を一晩だけ泊めただけなのに、話が大きく広がり、飛行機をハイジャックしたテロリストをリクルートしたとの嫌疑をかけられ警察に拘束されてしまいます。
しかも起訴も裁判もないまま6年近くも。
当時の米国は疑わしい点が1mmでもあれば米国のとある収監所に送り込まれていました。
劣勢の中、立ち上がる弁護士
当時の米国ではイスラム教徒は敵という空気が強かったのでしょう。事件に関与していない真っ白な人でもひとたび疑われれば、潔白を主張するのはまず無理。
弁護士も勝てない裁判に首を突っ込むのはリスクが高いと判断するものも無理はありません。
が、人一倍正義感の強いジョディ・フォスター演じるナンシーは人権保護の観点から、スラヒに対する米国政府による拘束は不当と一刀両断。
こうして、ナンシーvs米国政府とのバチバチの戦いが幕を上げるのです。
ジョディ・フォスターの前に立ちはだかる敏腕検事
一方の米国はスラヒを起訴すべく、ベネディクト・カンバーバッチ演じる敏腕海兵隊検事のカウチ中佐を投入。
てなわけで、両者の熱い戦いが始まると思いきや、とんでもない裁判には不利な特大のスキャンダルを知ることとなり、カウチ中佐は愕然とします。
そのスキャンダルとは、罪状を認めせるために収監所で行われた想像を絶するほどの拷問だったのです。
死の収監所、グアンタナモ湾収容キャンプ
スラヒが収監された施設は、キューバーにあるグアンタナモ湾収容キャンプで、ここで想像を絶するほどの拷問が繰り返されていました。
水攻めなどは当たり前。胴巻きにした状態で24時間近く吊るし上げられていたり、爆音のヘビメタが流れる部屋に拘束され、心身ともに疲弊。
しまいには家族を拘束した等の脅迫なども受け、これにはしばらく無実を主張していたスラヒも白旗を上げざるを得ませんでした。
こうして、嘘の供述書を書かされるはめになったわけです。
が、この拷問の文書を敏腕検事カウチ中佐は知ることとなり、起訴することを取りやめ、逆にナンシーを助ける側に回ります。
弁護士も大変だよ。
最終的に裁判で勝利を収めたナンシーですが、ここにたどり着くまでは困難の連続。スラヒに逮捕から拘束期間の手記を依頼するも、拒絶され続け信用されるまでに相当な時間を費やしました。
本作品のタイトルにある通り、黒塗りの記録ばかりだったのです。この状況を打開してくれたのが、カウチ中佐と言ってもいいでしょう。
裁判で自分の証言が認められ、自由の身となり喜ぶスラヒ。収監所のスタッフとハイタッチするシーンは、この人、本当に良い人なんだなと思いました。
相手は、ひどい拷問をしてきた相手だったというのに・・・
とにもかくにも人は見た目で判断してはいけないなと思った次第です。