銃を持たないという信念を貫く
こちらの作品、第二次世界大戦の沖縄戦に従軍した衛生兵の人生を描いた実話に基づく物語。
主人公デズモンド・ドスでは、親の反対を押し切って軍に入隊しますが、宗教上の理由、そして自分の信念のため、銃を持たないということを貫きます。
これがまず最初の地獄。彼を除隊をしようと軍隊学校の先生達は、連帯責任と言って休日を没収したり、デズモンドの仕事怠慢で部屋が汚いということで、30kmマラソンを課したりむちゃくちゃなお仕置きをします。
仲間たちも最初こそそんなデズモンドに対し、理解を示していましたが、度重なるしごきの原因はデズモンドにあると決めつけ、夜中に集団リンチをするなど、デズモンドにとってどんどん居場所がなくなってきました。
上司、仲間、恋人から除隊を進められても頑なに拒否し、軍法会議によって裁判にかけられてしまいます。
上司の言うことを聞かないを理由に有罪となれば刑務所行き。大方の予想では有罪判決の所を無罪判決となり、晴れて衛生兵として軍に留まることを認められたのです。
人権を認めている米国
この1件では驚いたのが、上司の対応。
第二次世界大戦の日本ではまずありえないと思いますが、命令に背くものは暴力を持って服従させる所、ちゃんと相手の意見を尊重しながら、お互いの妥協点を探るというもの。末端の兵士の人権をちゃんと認めている所に、大人なアメリカを感じました。
とてつもなく危険な戦場
軍人学校の厳しい訓練を耐え抜き晴れて戦場に送り出されることとなったデズモンドですが、その場所がとてつもなく危険極まりない場所。
その場所は崖の上にあり、あたり一面は何もないような荒廃した場所。日本兵なんぞ一人もいないのに、要塞に近づきにつれてワンサカわんさか湧き出るという表現がぴったりなほど日本兵が襲ってくるのです。
過去に6回戦って全滅という過酷な場所でデズモンドの部隊もほぼほぼ全滅の憂き目に合ってしまうのです。
壮絶すぎる戦闘シーン
とにかくこの戦闘シーンは今まで見た戦争映画の中で最も迫力がありました。
ゾンビのごとく襲いかかる日本兵。銃剣を片手に死を恐れない特攻に寒気さえ感じました。
火炎放射器で火だるまになってもまだ戦闘をやめない。白旗を挙げてふんどしいっちょうの丸腰のくせにいきなり手榴弾を投げてつけてくるなどとにかく戦場の怖さをまざまざと描いている感じがしました。
一人でも多くの人を助ける
全部隊総退却となってしまいましたが、デズモンドは一人戦場に残り、息のあるものは崖まで運びロープに結んで崖下まで送り届けるという作業を徹夜でこなし、多くの命をすくなったのでした。
入隊当初は、臆病者とののしられていましたが、この戦い後、上司、仲間から最も勇敢な兵士として讃えられたのでした。