よく映画化できたのかが驚き
この映画がよくぞ公開まで漕ぎ着けたのかがとにかく驚き。
全世界にとっても負の歴史、ドイツ国民にとってはなおのこと。上映に際して、色々な団体が公開中止を求めた抗議があったことでしょう。
日本に置き換えれば、日本を開国に踏み切らせた当時の閣僚を主人公に据えるようなもので、まず真面目な日本人から見れば、気でも狂ったのかと非難轟々となるでしょう。
そう考えると、ドイツ人は日本人に比べ多少なりとも寛容的な気がします。
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カンタンに作品のあらすじ
現代社会にタイムスリップしてきたヒトラーのお話。
戦後70年を過ぎ成長を遂げたドイツに舞い降りたヒトラーが、ナチス当時の振る舞いで人々に接し、そのズレっぷりを面白おかしく描いています。
親衛隊ssを募るのにFacebookを使うというのは21世紀ならではと言えます。
テレビのコンテツとしてバカ受け
現在社会にタイムスリップしてきたヒトラーを見つけたのが、テレビ放送局をリストされた冴えない男。ある番組の収録中に背景の草むらから軍服姿の男がニョキッと姿を表わし、これはと思い早速見つけ出し、ヒトラーをネタにした番組を売り込みます。
リストラされた彼にとっては起死回生のチャンス。ヒトラーに今の暮らしの不満に関する該当インタジューをさせて、それに対してヒトラーがコメントするもの。
ただ、そのコメントも第二次世界大戦中の思想と全く変わらず、それが視聴者にバカ受け。人気に火がつき、彼の出演する番組は軒並み高視聴率。ユーチューブでも広く取り上げられ、押しも押されぬスターへと爆心します。
まさか本物とは・・・
視聴者も彼を売り込んだ構成作家、そして局のスタッフも彼が本物のヒトラーだとは思っていません。あくまでもヒトラー似のコメディアン。言動も全て、ヒトラーがいいそうと完成度も抜群。
ところが戦争当時を知る老婆に彼が本物であることに気づき、身内の多くを失った悲しみ、怒りを彼にぶつけます。
それを見た、しがない構成作家は気づきます。「もしかして本物なの?この人」。再び彼を発見した場所を訪れると、何とそこは当時のナチスの関係施設だったのです。
そこで彼は気づきました、あれは本物ヒトラーだと。タイムスリップして現代に蘇えったのだと。
これは悪夢の再来となる、放送局の幹部達に、彼をこのまま露出させていくのは危険だと迫りますが、お金史上主義の彼らには全く響かず、逆に、コイツは頭がおかしくなったと精神異常者として扱われる始末。
社会不安の時に現れる
ナチスが台頭してきたものの、第一次世界大戦の敗戦でハイパーインフレを起こし、経済のどん底を経験し、社会不安は増長していた時。
そんな時こそ求められるのが、強いリーダーシップを持った政治家だと。それを自覚しているヒトラーにとっては、現代社会を自分が活躍できる環境が整っていると言っています。
今の世に対して警鐘を鳴らしている感じがしました。
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