巨大怪物には惹かれたけれど
こちらの作品。きっかけは予告CMのサナギマンのような怪物に興味が湧いたから。
難解な作品ばかり観ていたので、久々にわかりやすいファンタジーものは大変ありがったのですが、最初の30分でかなり難解な作品であることに気づかされました。
なのに、児童文学のベストセラー作品というのですから、最近の子どもたちは実に頭がいい。
色々と悩みを抱える中学生
作品の主人公は、母子家庭の中学生の男。愛するママは闘病中で家事全般は彼一人でこなし、えに書いたような孝行息子。
なのに、学校では悪ガキどもに目をつけられ、放課後集団でボコボコにされちゃうという世に言われるいじめられ子。
家では病に侵されるママ、学校では殴る蹴るいじめっ子というつらい環境にいながらにして、心折れることなく毎日を生き抜いていたのです。
何を伝えたい、謎の3つの物語
そんな彼の元に突然現われた、謎の巨大怪物。
怪物は彼に3つの昔話をお話をします。
1つ目はある王子のお話。2つ目は調合師の話、3つ目は透明人間。どれも脈略のない話に聞こえましたが、振り返ってみると、これ全て、今の主人公の心の中を描いていたんですね。
怪物はおじいちゃん説
この作品を紹介した小山薫堂さんいわく、この怪物は、ママのお父さん、つまり主人公から見たらおじいちゃんの人生教訓のお話ではと。
この3つの昔話を、お母さんは小さい頃におじいちゃんから聞かされ、今度は自分の息子にこの話をしてあげたというもの。
話を聞いて、お母さんがイラスト化してさらに話に肉付けをしていったのです。
確かにおじいちゃんから受け継がれるお家に代々伝わる昔話ということであれば、話が見事にピタッとはまります。
清濁併せ呑むとはさすが小山薫堂さん
お母さんが伝えたかったのは、人間は全て善の心だけを持つ人間ではないと。悪の心も持っていて、自己矛盾しながらもそれが人間だよと。ということを説いていると感じました。
で、悪の心を持つのは悪いことではない。それが自己の成長にもつながるんだよと。
お母さんを失いたくないと言いつつ、早くこの不自由な生活から抜け出したいという自己矛盾。そんな事を口に出するは悪いこと、ママへの申し訳ない気持ち。
それを怪物が諭すようにして、彼に語ってくれるのでした。
清濁併せ呑むとはこの状況にピッタリのく表現だと思いました。
それにしても、これが児童文学でベストセラーというのgですから、こうゆう価値観を許容する海外って大人だなと感じた次第です。