数年前の日本の物流もこんな感じだったのかな
子供2人の4人家族のパパは建設業界で長く働いていたものの、不景気をあおり受けて退職を余儀なくされ、それ以来職を転々とし、気づけば借金で首が回らいない状況に陥ってしまいます。
そんな藁を掴みたい状況で目にしたのが高額収入の宅配のお仕事。日本で言えば赤帽といったところでしょう。ドライバーは個人事業主という形態でクルマはリースか自腹。元締めの管理する倉庫の荷物を運ぶというもの。
めでたく採用となったものの、問題は配達用のクルマ。会社からのリースは長い目で見ると損することから、イニシャルコストは高いけど自腹で車両を購入することにしました。
奥さんが仕事で使用しているマイカーを売り、頭金を用意することになるのですが、しわ寄せは奥さんに。訪問ヘルパーとして働くママは、バスを利用しての移動となるわけです。
えっ、交通費が自己負担。それはあんまりだよ
パパに負けず劣らずの忙しさで働くママは、介護が必要な老人の家を訪問し、食事の世話をしたり、お風呂に入らせたり、かなりの重労働。しかも1日に数件もの家を訪問するというハードワークっぷり。
人が足りていないということで全てママにしわ寄せが。休みの日にも会社から緊急出動の要請が入るなど、まるで昔の日本の職場を見ているようで、ゾッとしました。
お客の家を移動するのにクルマではあればさぞ負担も軽減されるのに、移動は全てバス。バスを待つママの疲れた表情がやけに印象に残りました。
家族を想い働いているのに。子供には理解されないつらさ
朝から晩まで働く両親。子どもたちの将来のために一生懸命働いているのに、子どもたちはと言えば、寂しさからなのかもっと自分を見てもらいたいというアピールなのか、長男は悪の道へまっしぐら。
学校を停学させられたり、万引をして親を悲しませたり・・・・。
息子をかばうママ。一方、激しくしかりつけるパパ。そんな喧嘩の絶えない家族を一番悲しく思っているのが娘さんというのが複雑な感じがしました。
家族を一番俯瞰して見れているのは娘さんだったかも
ママとお兄ちゃんの間を取り持ったり、パパとママの関係をよくしようと奮闘したり、この子が一番家族想いなのかなと。
こじれてしまった家族の関係を、忙しすぎる仕事にあると見抜き、あの行動に出たのには、パパママ以上に、見ている側も考えさせられました。
モヤモヤがただ残る、エンディング
この家族に幸あれと思った人も多いことだったでしょう。家族団らんでで最後はうまく、そう僕も信じていましたが、モヤモヤ感だけが残るエンディングでした。
とは言え、フィクションでありながらも現代社会問題を深くえぐった内容であり、そのトーンを終始貫くためにも、あの終わり方が最善だったのでしょう。
色々と考えさせられる内容でした。