行動パターンが全て読まれている怖さ「ある天文学者の恋文」

女っ気のない学者の恋バナかと思いきや・・・

タイトルを見る限りてっきり、恋愛ベタで天文学に生涯を捧げたある学者が、いい年して恋に目覚めて結婚といった、持てない男子にエールを送る応援物語かと思いきや、内容は全く異なりいい意味で裏切られました。

物語の主人公は妻子、そして子供が2人もいる学者。天文学の世界では権威ある御方で、なかなかのイケメン。学もあり容姿も抜群。天は二物を与えるほどのパーフェクトなお方。

で、恋に落ちた女性は、妻子でもなく教え子の生徒。

かなりディープな不倫関係にあった訳です。

ある天文学者の恋文

やりとりはメールで。

不倫という関係上、人目を忍んで交際しなくてはならず、連絡手段はもっぱらメール。文字だけならまだしも、この教授がマメな人で動画付きのメールをほぼ毎回送るほど、彼女にご執心。

時には、電話でもやりとするのですが、ある日を境に全く電話に出てくれない日が続き、奥さんにこの関係がバレたのかと彼女は不安になります。

で、彼が主催する天文学の講演に参加して、どうして電話に出てくれないの?と問いただそうと息巻いて出席した所、なぜか代理人が登壇。彼曰く、教授は数日前に亡くなられたとのこと。

愕然とする彼女。というのも、電話での連絡はつかなかったものの、彼の死後、メールでのやりとりは続いており、それもまぁ、タイムリーな内容ばかり。生きていないとわからない内容のものばかりでした。

ある天文学者の恋文

彼女の行動を先読み

メールの予約送信機能とでも言いましょうか、彼は自分の死が近いことを知り、彼女のための終活を進めていたのです。

彼の知り合いの弁護士やら別荘のスタッフなどに。彼らは、生前の教授からの指示に従い、メールを送ったりプレゼントを発送していたり、教授の組み立てたスケジュールに合わせて事を進めていったのです。

ある天文学者の恋文

秘密の扉を開ける鍵は?

彼の死を受け入れ、送られてくるメールを毎日楽しみにしていた彼女ですが、ある日ささいなことで、彼の事を嫌になり、生前に決めていたメールストップのメッセージを送信します。

それ以来、一切彼からのメールは途絶えました。

が、やっぱり寂しい。てなわけで、再びメールを送ってもらおうとしますが、復活の呪文は生前決めていませんでした。

心当たりのあるメッセージを入力しても、全くメールは届かない。弁護士に残りのメッセージを送って欲しいとお願いしても、教授との約束を破ることはできないの一点張り。途方にくれる彼女。その失意のどん底にいた時に、お家に泥棒が入るという不運が重なります。

が、そのモノで散乱した部屋に、復活のメッセージに繋がるヒントを発見するのでした。

果たして教授からメッセージが再び送信されるのか・・・。最後まで引き込み力抜群の作品でした。