地理的にも不利なノルウェイ
1940年4月、ノルウェイで歴史が大きく動く瞬間を描いた作品。ドイツによる侵攻が激しく、このまま降伏するか抵抗するかを迫られます。
そもそもノルウェイはドイツからも地理的にも近くほぼほぼ隣国。加えて、ドイツが鉄鋼石を輸送するのに重要な港があり、ここを封鎖されてしまったら軍事兵器の開発がままならない。
というわけで、ドイツはノルウェイを占領下にすべく次々と都市を制圧していきました。
決断するのは政府だけども・・・
ドイツの占領が激しさを増しているものの、中々ドイツと戦うことを決めきれない政府。とは言え、祖国のために勝手にドイツの戦艦を撃沈させてしまう軍部。国としての統制が効かない混乱期にありました。
そこで国王に開戦か降伏かの判断を迫るにいたりますが、あくまでも国政の執行者は政府であり、国王はその判断を支持するというスタンス。
ところが、あろうことか時の内閣が総辞職してしまい、新政権は親ナチス派の首相が就任。ノルウェイ降伏という方向に舵を切るわけですが、国民、軍部としては徹底抗戦の構え。こうして国は開戦と降伏に真っ二つに意見が別れ、さらに混沌としていくのでした。
ドイツ大使館の長も頑張ったけど・・・
ナチスでありながら、穏便に事を運ぼうと頑張っていたのがノルウェイのドイツ大使館の長。
まさに本社と現地の調整役係で奮闘するサラリーマンのようでした。
時には自国の強引な外交を激しく非難し、ノルウェイとドイツが平和的な国交実現に向けて頑張っていましたが、その想いは叶わず、しまいにヒトラー直々に「国王に降伏を迫れ」という困難極まりない命令を受けます。。
逃亡を繰り返す国王
ヒトラー傀儡政権発足後、国内は開戦と降伏に2分。てなわけで、事態の収拾を狙い国民の精神的支柱とも言える国王から「降伏の言質」を取るよう戦略を転換。
必死になって国王を捕らえようとするナチスと潜伏場所を転々とする国王。
激しい空襲に何度も襲われるも、「祖国のために」と一切屈する姿勢を見せませんでした。
そして開戦へ。
ドイツ大使館の長との交渉時にも、自分も信念を曲げず契約書にサインをしなかった国王。
その心情が痛いほどわかるものの、お国のために本意ではない交渉に臨むドイツ大使館の長。
この最後の交渉決裂を持って、ドイツとの開戦に突入することになります。
国王はその後、イギリスに亡命するもドイツと戦う自国を支援するものの、その数カ月後に降伏に至りました。
痛みは伴ったものの相手の条件に屈せず戦った国王の姿勢は、今でもノルウェイの民主主義の象徴となっているそうです。