あらすじ
ある天才バイオリニストの最後の8日間を描いた作品。スートーリー、最初の演出と言い、かなり重―い話かと思いましたが、ちょいちょいコミカルなシーンもあり、笑えます。
何気に泣かせる息子
神経質で、とっつきにくい主人公のバイオリニスト、ナセル・アリ。この人の血が流れているのかと疑うほど、ノー天気な息子。人目をはばからずバスの中で歌を歌ったり、父が死ぬ前に伝えたい想いを語っている最中にとんでもないことをやらかすし、どうしようもない息子ですが、最後は大技を繰り出します。
走馬燈のように流れていく我が人生
死の淵に立ち、今までの人生を振り返るシーンがいくつか紹介されます。主人公の若き日の恋物語から、出来のいい弟と比較させるつらい学生時代、そして奥さんとの出会いなど・・。
最初は何て偏屈な男なんだろうと思いましたが、作品が終わりに近づくにつれ、愛おしくさえ感じます。
奥さんの本心にホロリ
甲斐のない夫に対し、イライラが爆発。大事なバイオリンを床にたたきつけるというとんでもない行動に。
と熟年離婚かと思いましたが、結婚前から今現在も変わらぬ想いを旦那に抱いており、旦那の好きな料理を差し出すシーンには、ジーンとこみあげるものが・・・。
最後は泣かせます。
回顧録は全般的に、ユーモアたっぷりの話ですが、最後に紹介されるエピソードは、ユーモアのみじんもなく、かなりシリアスな展開。主人公のナセル・アリが自殺を決意した謎もこのシーンに含まれています。
やっぱり夫に先立たれ、今も愛している奥さんが一番かわいそうな気がしてならない・・・・。