初めて知ったよイラクの建国の母?
自称旅人と語るガートルード・ベルの生涯を描いた作品。
アラビアの女王と呼ばれた彼女は、イラクとヨルダンの国境線を引いたことで歴史に名を残した人物の一人。
オスマ帝国という響きにピクリ
時代的には20世紀初頭の第一次世界大戦前夜から終結まで。日本で言えば日露戦争に勝利した頃です。
長きに渡りこの地を治めていたオスマン帝国は統治能力に欠け、領土も隆盛を極めた時代から比べると恐ろしく縮小。
イギリスやフランスに侵略されるがままの状態でした。
外部からの侵略が増え、統治国家は弱腰。加えて部族間の抗争が激しさを増すカオス状態。
時には危険な旅もあったけど
そんな危険極まりないカオス状況の中、砂漠に魅せられた女性が本作品の主人公ガートルード・ベル。
現地スタッフを雇い数匹のラクダと共に砂漠の旅に出ます。
砂漠に点在する部族長に会い、その部族の文化、習慣などに触れ、中東情勢の情報をより深めていきました。
時には、命の保証はないと言われる危険極まりない部族との接触も恐れることなく、毅然とした態度で臨み、むしろ部族長からはリスペクトされるほど人望を集めます。
情報収集を兼ねたこの旅で、いつしか彼女の評判は中東全土に広まり、アラブの賓客から「あなたに会えることは光栄です。」と言われるほどに。
当初、そんな彼女の行動を煙たがっていたイギリス軍も彼女の評判が高まっていくと軍の諜報部隊に勧誘。
ところがガートルード・ベルは、きっぱりとお断り。あくまでも個人の趣味で活動しているものであって、軍のためにしているものではないと。
それにしても昔からカオス?
フセイン死後、混乱が続くイラク。様々な部族の利害関係が錯綜して、なかなか統一国家としての形が進まない。
20世紀初頭から部族間抗争が激しく100年以上経つ今もなお続いているということはDNAとして刷り込まれているんでしょうね。
今後の中東情勢をより良き方向に進めていくには、第二のガートルード・ベルが必要かもです。
イラク並びに中東に再び平和が訪れることを切に願います。