ハーディング襲撃事件の方がピンと来るかも
今から約25年位前に、オリンピック候補のアイススケート選手が何者かにヒザを殴打されるという事件が起きました。
犯人は何とライバル選手のトーニャ・ハーディング。
で、この作品はそんな彼女のこれまでの生涯を描きつつ、事件の真相に迫った秀逸の作品。
当時、彼女は事件との関与を否定するも、ライバル選手を痛めつけて自分がオリンピック選手に選ばれようとする悪い女として捉え、彼女の主張を真っ向から否定。
この事件をきっかけにトーニャは嬉しくもない悪女という汚名を着せらえることになったのです。
自己主張の塊とはまさにこのこと
小さい頃から天才的な才能を持ったトーニャ・ハーディング
3歳からスケートを始め、数カ月後には年上の先輩達を差し置いて表彰台の一番高い所に
誰もが認める逸材。しかもそこに自分ものっかって謙遜する素振りは一切なし。
オリンピック選考会では、あまりの点数の低さに審査員に詰め寄り「どうして評価してくれないの。」と主張し、嫌われる羽目に。
とは言え、ここまで我が強いのはむしろ気持ちいい。変に丸く収まるよりも。
その後は、多少の反省は見るものの、最後まで私は天才を主張し続けたメンタルの強さは尊敬に値します。
モンスターペアレンツを霞むよ。真のモンスターママ
彼女の人格形成に多大なる影響を与えたのが、彼女をしてモンスターと呼ばせる実のママの存在も大きかったでしょう。
子供と親という立場ではなく、常に対等。作品中に、ママがトーニャ・ハーディングを褒めたことは一切なし。ライバルの選手とは口を聞くなとか、お金を払っているのは私だら、私がOKというまで休憩なしとか、スケートに注ぎ込んだ分のお金を払えとか・・・
こんな厳しい親に育てられたのですから、メンタルが強くなるのも納得が行きます。
見返してやるが彼女の原動力
グーの音も言わせないというのはまさにこのこと。本作品で一番胸のすくシーンが、彼女のトリプルアクセル成功。しかもアメリカ人初という称号つき。
それまで彼女のスケートに否定的だった審査員達も、トリプルアクセルを成功させたことで高得点をつけざるを得ず、この成功をきっかけに全米NO.1。オリンピック出場を手にすることができました。
彼女の人生を振り返るとこの時がピークだったんでしょう。
この後はかわいそうすぎるくらいの転落人生なのですから。
これが真実であって欲しいけど
作品に描かれていることが真実という前提で話をすると、彼女のヒールにしてしまったのは、元旦那。
殴打事件の件も、元旦那が計画したもので、トーニャ・ハーディングは全く知らなかったというもの。
しかも当初は脅迫文止まりだったのに、実行犯がまさかの襲撃をしたものだから事態をどんどん重い方向になり、彼女のスケーターとしての人生も摘んでしまったのですから。
モンスターママが、彼と成功はあなたの人生の中で一番の失敗的な忠告を結婚式で言っており、さすがモンスターとあらためて感心させられました。