ナチス政権奪取前夜はこんな感じだったの
時は1934年。ドイツではナチスが政権を奪取るか否かという国民にとって今後の未来を占う大事な時期でした。
第一世界大戦の戦時補償などで負わされたドイツは未曾有の不景気時代。民意としては新しいリーダーを望む声が高まり、ヒトラー率いるナチスが大躍進を遂げました。
この状況に主人公のパパは真っ向から批判を繰り返します。ドイツ人の魂を失ったかというトーンで激しくナチス政権の危険を説いたのです。
が、フタを開けてみたらナチスは選挙で勝利。政権奪取となったわけです。
主人公の家族は開票日の前に身の危険を感じ、着の身着のままでスイスに亡命します。
お手伝いのおばあさんとの別れは幼い子供たちにとってはつらい経験だったのでしょう。
が、命を狙われるほど危険にさらされているわけで、この選択が後で正しかったことがわかります。
永世中立国スイス。子育てにはいいけど収入が
ベルリン時代はどちらかと言うと裕福な暮らしをしていた家族でしたが、スイスでの暮らしは民宿みたいな家に落ち着き、暮らしも質素そのもの。
けど、不平不満を一切言わない子供たち。言葉や文化が異なる環境でも、心を折れることなくスイスの生活に馴染もうと努力します。
子育てには良い環境のスイスでしたが、文章を商売とするパパには働き口がなく次第に貯えも底をついてきます。
このままでスイスでの暮らしもままならないということで、一家はフランスに亡命することにします。
ベルリン時代が懐かしい。極貧すぎるよフランスでの暮らし
フランスで職にありつけたパパですが、著名脚本家にしてはおそらしく低い金額での契約となります。
とは言え、無収入よりもまだましということでパパは渋々この契約にサインします。
パパが職にありつけたものの、フランスでの生活はさらに困窮が極まり、アパート暮らし。家賃は滞納し、主人公は最初こそ学校にも行けない。
パパ、ママは金品を質屋に入れて日々の生活費を稼ぐというギリギリの状態が続きます。
不平不満を一切口にしなかった子供たちからも毎日同じ食事は嫌だと不満が出るほど、やや家庭内に危機が迫ります。
パパの不屈の精神に脱帽。自慢のパパはやっぱり凄い
そんな中、パパが仕事とは別に脚本したナポレオンがイギリスで高評価を得て多額の報酬を支払うという朗報が舞い込みます。
このチャンスを逃さないとばかりに、すぐさまイギリスへの亡命を決意します。
低賃金のフランスの契約で腐らずに、出版社が買ってくれるか否かわからない脚本に力をそそぐパパは子供たちから見たら自慢のパパに映ったことでしょう。
イギリス亡命で安堵
とにかく本作品は、この家族がナチスに捕まらないかというハラハラ・ドキドキ状態。
永世中立国スイスにとどまっていればナチスも手をつけられないのに、どうしてわざわざ危険なフランスに亡命したのか。
エンディング近くにイギリス亡命の報に触れ、安堵したのは言うまでもありません。
それにしても、本作品の主人公が世界的な絵本作家であることを見終わった後に知りました。
小学校の文章コンクールで優勝したことに納得させられました。